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井上尚弥の超速ジャブで敗者ピカソ「これは厳しい」“弱気になった”瞬間をカメラマンは見た…はしゃぐ応援団「倒されなければいい」ピカソの目標設定
posted2026/01/13 11:15
井上尚弥に完敗を喫した挑戦者アラン・ピカソ。リングサイドで試合を撮影した世界的カメラマンは、「ピカソの戦略」をどう見たのか
text by

福田直樹Naoki Fukuda
photograph by
Naoki Fukuda
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序盤で感じた異変「ピカソが弱気になっている…」
昨年末の『ナイト・オブ・ザ・サムライ』は、あらためてボクシングの難しさを感じたイベントになりました。井上尚弥選手は2025年の4試合目。このレベルのボクサーとしては異例で、疲労があって当然のスケジュールですが、12月23日のグランドアライバルから公開練習、会見、前日計量と、撮影しているかぎりでは決して悪い状態ではないように映りました。カタすぎず、かといって油断しているわけでもなく、日本で見る井上選手とほぼ変わらなかった。
対戦したアラン・ピカソ選手ですが、公開練習を見て「思っていたよりバランスがいいな」と感じました。上下、前後の動きがなめらかで、コンビネーションがその動作に溶け込んでいる。ちょっと失礼かもしれませんが、「意外といい選手」という印象です。一方で、肩から首にかけてはいささか線が細く、アゴもちょっと頼りなさを感じさせる。イメージとしては2017年のヨアン・ボワイヨ戦のように、早々に井上選手が仕留めてしまうかも、という予感があったのも確かです。
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実際に試合が始まってみても、序盤は「これは倒していくパターンだな」と思いながら撮影していました。井上選手の上下のジャブは速く、的確でしたし、ガードの上から強く右を打って、向こうの力量や反応を試すような余裕もあった。ただ、対するピカソ選手も「自分が耐えられるか試している」ような気配はありました。
ピカソ選手は真ん中の隙間を狭めた高いガードで外側に選択肢を限定したうえで、わかっていてパンチを食らっていた。あるいは、ボディにしてもそうかもしれません。井上選手の選択がある程度予想できたからこそ、強いパンチでも不意のタイミングでもらうことはあまりなかったのだと思います。



