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ボクシング拳坤一擲BACK NUMBER
井上尚弥vsピカソ試合当日の“異変”「まさかの試合ドタキャン」拳四朗号泣会見も…現地記者が見たウラ側「ラスベガスより調整しやすい」井上尚弥の本音
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渋谷淳Jun Shibuya
photograph byNaoki Fukuda
posted2025/12/29 17:30
12月27日、井上尚弥vsアラン・ピカソ。サウジアラビア現地記者が見たウラ側
なんと寺地が挑戦する予定だったIBFスーパーフライ級王者ウィリバリド・ガルシア(メキシコ)が体調不良で試合をキャンセルしたというのだ。計量失格はよく目にするが、計量から数時間後にピンピンしていた選手が試合をキャンセルするとは聞いたことがない。
翌日、試合会場に現れた寺地陣営に話を聞くと、ガルシアはリカバリーの途上で体調を崩して嘔吐、病院に駆け込んだという。コミッションドクターの説明は「脱水症状」だった。代役を探すという動きもあったが、試合当日ではどうにもならない。
ニュースを聞いた直後は「ポジティブにいこう」と気持ちを崩さなかった寺地だが、報道陣の前に姿を現すと「やっぱり試合会場に来ると……」と言葉を詰まらせ、涙を流した。はるばる日本から寺地の応援に駆け付けたファンが40人ほどはいたという。自身も世界王座陥落からの再起戦だっただけに、涙を流す姿はあまりに不憫だった。
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会場の片隅で行われた寺地の記者会見から数十分後、「ナイト・オブ・ザ・サムライ」が大音量の音楽、きらびやかな照明とともに幕を開けた。アラビアの大地で、サムライたちのハードな戦いが始まった。

