オリンピックPRESSBACK NUMBER

「決勝にも出ていない選手が」SNSの言葉に傷つくことも…女子ハードル・中島ひとみ(30歳)が振り返る“注目度急上昇の今季”「支えになった夫の存在」 

text by

加藤秀彬(朝日新聞)

加藤秀彬(朝日新聞)Hideaki Kato

PROFILE

photograph by(L)Kiichi Matsumoto、(R)Wataru Sato

posted2025/12/30 11:02

「決勝にも出ていない選手が」SNSの言葉に傷つくことも…女子ハードル・中島ひとみ(30歳)が振り返る“注目度急上昇の今季”「支えになった夫の存在」<Number Web> photograph by (L)Kiichi Matsumoto、(R)Wataru Sato

世界陸上で準決勝進出を果たすなど今季、大躍進を遂げた中島ひとみ。一方で、話題になったことでSNS等では厳しい言葉も目についたという

 世界陸上の結果には、もちろん満足していない。予選は12秒88で5着、準決勝は13秒02で7着。直近の記録を考えると、物足りないタイムになった。

「あそこに立ったらいつもの通りの動きが全くできない。プレッシャーや緊張なんて言葉では表せない体の硬直感、ジャパンを背負う重みを感じました。そういう舞台で自分の最高以上のパフォーマンスを出せる人って本当に強いなって。私は出したい気持ちがあっても、気持ちと体が一致しなかった」

世界陸上を経て感じた「これで終わりたくない」

 めざしてきた舞台に立ったとき、何を思うのか。レースを終えるまでわからなかった。今思うことは、「これで終わりたくない」。

ADVERTISEMENT

「満員の歓声と、ずっと応援してくれた家族と友達の涙。あの姿や思いを全部含めて、そういう気持ちが芽生えています」 

 世界の舞台で、どうすれば結果を残せるのか。最高のパフォーマンスが出せるのか。

 2026年、新シーズンにめざすものを聞くと、日本の女子短距離選手からはあまり聞かない目標が出てきた。

「やっぱり競技人生で一度、ダイヤモンドリーグ(DL)には出たいです」

 世界最高峰リーグのDL出場のためには、タイムと世界ランキングが重要になる。タイムの目標は100mHで12秒5台。そして、日本選手権とアジア大会のタイトルを狙う。その全てを獲得すれば、DL出場も不可能ではない。

 同じ日本のハードル界には、格好のお手本がいる。世界陸上の男子110mHで5位入賞を果たした村竹ラシッド(JAL)だ。

「試合で(村竹が)グラント・ホロウェイ(米国)とハイタッチしている姿を見て、めちゃくちゃ感動しました。世界の高みを見据えて、DLのような場に立ち続けている彼だからこそ、あの光景が生まれたのだと思います。自分もあの場所に立ちたい。そのためには自分の力でつかみに行くしかないと思っています」

 30歳にして、見据えるものははるかに高くなった。目の前に新たな夢がある幸せをかみしめながら、これからも進んでいく。

 そして、そんな中でシーズン終盤には、中島が女子スプリント界に与えた「もう一つの衝撃」があった。

<次回へつづく>

#2に続く
「今ある体をどれだけ生かせるかを重視」今季大躍進…女子ハードル・中島ひとみはナゼ30歳でも100mが速くなった? まさかの“衝撃スプリント”秘話

関連記事

BACK 1 2 3 4
#中島ひとみ
#長谷川体育施設
#豊田将樹

陸上の前後の記事

ページトップ