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ハマ街ダイアリーBACK NUMBER
さらば番長…「現役時代と監督時代、どっちがきつかった?」三浦大輔が語ったDeNAでの濃密な5年間「これからはファンの方々と同じ気持ちで」
text by

石塚隆Takashi Ishizuka
photograph byAtsushi Hashimoto
posted2025/12/22 11:05
監督の座を退いた三浦が5年間の濃密な時間を振り返った
珍しく見せた激情の場面
「やっぱり選手は敏感ですからね。僕は怒らないとか言われがちですけど、そりゃ戦いですから感情というのは常にありますよ。点が入れば喜びますし、負ければものすごく悔しい」
この5年間、感情を押し殺してきたゆえに話題になることもあった。昨年の8月27日の阪神戦(横浜スタジアム)、3点リードの7回表。リリーフであるローワン・ウィックの制球が乱れ無死満塁となってしまった場面で、三浦は投手交代のためマウンドへ向かった。それに対しウィックが「NO!」と言うと、三浦は憤怒の形相で「チェンジ!」と言い放ち、その様子にハマスタは騒然とした。
グラウンドで激高する三浦の姿は珍しく、それだけで大きなニュースになった。そのことについて尋ねると、三浦は気恥ずかしそうな風情を漂わせながら言った。
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「あのときは『勝ち切る覚悟』というスローガンの下、チームとして首位を追い上げていくぞという状況でしたし、ウィックはたしか四球、四球、ポテンヒットで満塁にしてしまったのかな。流れを変えるためにも投手を変えようとマウンドに行ったんですけど、交代しないという意思表示をされて、ここははっきりと言わなければいけないと思ったんです。
ただゲーム後、ウィックと話して、彼としては自分の出したランナーに対し責任を持ちたかったと言うんです。その気持ちは僕もピッチャーでしたからわかりますし、大切なことだと思います。とはいえチームとして勝っていくために、なにを一番しなくてはいけないのかという判断をするのが監督ですから、じゃあ投げさせてやりたいから投げさせようで負けてしまったら、チーム全体に示しがつかないので、あそこはしっかりと線を引いてやりましたけどね」
決断するたびに選手の気持ちを深く考える。監督初年度は選手と一緒に戦っているつもりで失敗してしまったと語っていたが、実際のところは、指導者として年数を経るたびに、チームのコアに深く潜り、全体を掌握し俯瞰しながらも、やっぱり選手と一緒に戦っていたのが三浦大輔なのだと思わずにはいられない。
現役と監督、きつかったのは……?
「比較できるものではないのですが、現役の25年間と監督5年間、どちらがきつかったですか?」と尋ねると、少しだけ時間をおいて口を開いた。

