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原晋監督と妻が“初めて出会った日”「胸に赤いバラを挿しておくから」電話口での冗談…青学大を“箱根駅伝の常勝軍団”に育てた夫婦の結婚秘話
text by

原美穂Miho Hara
photograph byJIJI PRESS
posted2026/01/03 06:02
青学大の原晋監督と、妻で寮母の美穂さん
急展開ですが、彼女の知り合いならそう悪い人ではないだろうし、話していて面白いなと思ったので、それほど抵抗はありませんでした。もともと、わたしは男の子とは恋愛に発展する前に友だちになってしまうタイプです。この人とおつき合いすることになるかもしれないなどという予感はまったく抱かず、そのときは、また友だちがひとり増えるなという気分でした。
映画は次の日曜日に見ることになりました。ただ、顔がわからないので待ち合わせ場所でどうやってお互いを見つけるかが問題です。もちろん当時は携帯電話はありません。
電話口でその人は「じゃあ、胸に赤いバラを挿しておくから」と冗談を言って電話を切りました。
映画の予約はキャンセルしなくては…
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その日、わたしが彼女の家から帰宅すると、母によってまた新たなお見合いがセットされていました。日時はよりによって日曜13時から。映画のための待ち合わせは12時。何が何でもお見合い優先なので、映画の約束はキャンセルしなくてはなりません。そこで先ほどの男性に電話をかけて約束を変更できればいいのですが、わたしは相手の電話番号を聞いていませんでした。
でもまあ、当日、謝ればいいや、とわたしは軽く結論づけました。わたしの家から待ち合わせ場所まではごく近く。向こうもきっと近くに住んでいるだろうから、それでも許してくれるだろうと思ったのです。
その日、わたしは午後に控えたお見合いにふさわしい服装をして、12時に間に合うように待ち合わせ場所に向かいました。そこにいたのは、胸に赤いバラを挿してはいなかったけれど、感じのいい男性です。今まで、お見合いで出会ってきた人たちとはどこか雰囲気が違いました。
新幹線でやってきた原晋
わたしは、用事ができてしまったので映画は見られないと謝り、でも30分くらいは時間があるので、一緒に食事をしましょうということになりました。わたしはそのとき初めて、その男性の名前を知りました。生まれた年は同じ。ただ、学年はわたしのほうがひとつ下です。
原晋と名乗ったその男性が、広島県の三原市から30分かけて新幹線でやってきたというのには驚きました。わざわざ来てもらったのに、約束を守れないのは申し訳ありません。次はわたしがお詫びにご馳走する、という話をしたように思います。
ただ、彼にはそれよりも気になることがあるようでした。わたしの午後の用事は何なのか、ということです。休日にしては、かちっとした服装をしていることに気がついていたかもしれません。
