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「ドラフト7位で1位級のポテンシャル」スカウトが実力を確信するカープの新人右腕・高木快大のトミー・ジョン手術で始まるプロ生活
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前原淳Jun Maehara
photograph byJIJ PRESS
posted2025/12/22 17:01
入団会見の撮影でポースをとる高木。背番号は46をつける
だが、わずか1年で高木の立場は大きく変わった。プロ入りへの道筋がはっきりと見えてきた3年冬に、右肘のクリーニング手術を行った。骨片を取り除いて痛みはなくなったものの、今度は肘の可動域が広がったことで靱帯を痛めた。4年の春季リーグは7試合登板で5勝1敗。秋季リーグは登板なしに終わった。
「春の終わりからドラフトまでの秋にかけては、人生で一番つらい時期だった。打たれたなら修正できるけど、痛くて投げられない、マウンドにも立てない……。やるせないというか、苦しい。元気な姿でいるということが野球人として大事なことだと再認識できました」
支配下選手としてのドラフト指名に感謝した。ただ、このままの状態では戦えないことも分かっていた。球団もそれを理解した上での指名だったからこそ、メディカルチェックを手術に向けた最終確認とし、入団会見を待たず手術に踏み切ることができた。
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「入団会見の後にという話もあったんですが、1日でも早くと思ってやらせてもらいました。(育成ドラフトでの)3桁の指名に落とすこともできたと思うんですけど、7位で取ってもらったことに感謝して、この1年を過ごしたい」
三軍から始まるプロ生活
手術した11月15日は、1年前にクリーニング手術したのとまったく同じ日だ。ただ前回とは違い、気が遠くなるようなリハビリの日々が待っている。
ともにプロ入りした仲間たちのうち、育成2選手を含めた7選手が来春の一軍キャンプ参加となった。二軍スタートは高卒のドラフト6位・西川篤夢(神村学園伊賀)のみ。高木は二軍でもなく、リハビリ組の三軍でのスタートとなる。開幕一軍争いにもローテーション争いにも加わることなく、しばらくは自分自身との戦いが続く。
「目の前をみたら、しんどいことが浮かんできますけど、痛みがとれて丈夫な肘になって、10年、20年と活躍する選手を目指しているので、正しい決断だったと思っています」
左手でマイクを握った日の控えめな覚悟がいつか結実する日は来るだろうか。遠回りに見えてもそれが成功への近道だったと、その右腕で証明していくしかない。
