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「夏場に向けて戦力を準備しないと…」借金生活が続く広島が、若手抜擢の“継投”に見出す夏場以降の勝機

posted2026/05/11 11:02

 
「夏場に向けて戦力を準備しないと…」借金生活が続く広島が、若手抜擢の“継投”に見出す夏場以降の勝機<Number Web> photograph by SANKEI SHIMBUN

今季はすでに、昨季と並ぶ7試合に登板している遠藤

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前原淳

前原淳Jun Maehara

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 7勝14敗1分けと、首位に7ゲーム差をつけられて迎えたゴールデンウイークの9連戦は、広島にとって今季最初の正念場だった。大型連戦で崩れれば、上位浮上の機運もしぼみかねない。黒星が先行するチーム状況を考えれば、目先の1勝を追いたくなる局面だった。ただ、目先の結果にばかり執着しても、結果的に悪い流れに拍車がかかることは珍しくない。

 連戦を4勝3敗1分(中止1)で乗り切った広島の首脳陣が見せたのは、手堅さよりも抜擢色の強い継投だった。

 復調傾向にある森浦大輔とともに、開幕時には一軍にいなかった遠藤淳志、(たか)太一に勝ちパターンを支える役割を託した。そして昨季、ともに0ホールドだった2投手は、8試合で計3ホールドと結果で応えた。今季からブルペン担当となった石井弘寿投手コーチには、明確な狙いがあった。

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「もちろん、数字的な根拠もあります。それに全体的にマネジメントしていかないといけない。どうしても偏りやすいところがあるので、みんなを使って底上げしていかないと6カ月持たない。借金がある中でひとつずつ返していくことはもちろん大事なことなんですけど、夏場に向けて戦力を準備しないといけない。そこで遠藤や高が戦力になってくれれば、負担を分散できる。これは二軍ではできないことなので、一軍の緊張感の中で成功体験を重ねて自信にしてもらいたい。もちろん、1試合1試合の分析を本人と話して、次に向けた取り組みも考えてやっています」

入団9年目の進化

 遠藤は連戦中、広島中継ぎ陣最多となる4試合に登板した。入団2年目の2019年に34試合に登板し、翌20年には先発として5勝を挙げた。だが、その後は大きな期待をかけられながら停滞感が続き、近年は後輩投手の後塵を拝していた。

 だが今季は4月18日に一軍に昇格すると、登板3試合目の4月29日の巨人戦で一軍登板では自己最速となる150kmを計測。ビハインドの5回から1回2/3を無失点に抑え、次戦5月1日の中日戦では4点リードの9回を締めた。翌2日の中日戦ではスコアレスの6回に登板して三者凡退でバトンをつないだ。

「遠藤はいいものを見せてくれているので、自信にしてもらいたい」

 新井貴浩監督も好投を続ける右腕の変身に目を細める。投手コーチが積極的に意見を出せるよう、密にコミュニケーションを取りながら、継投の決断を下してきた。指揮官は就任時から、目先の1勝だけを追ってきたわけではない。

【次ページ】 チームの命運を握るブルペン投手陣

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