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英記者が絶賛なぜ?「正直、度肝を抜かれた」拓真でも天心でもなく…29歳日本人ボクサー評価急上昇の理由「金を積まれても、戦いたいと思わないレベル」
posted2025/12/01 11:06
元世界王者を寄せ付けなかった坪井智也(29歳)。試合後、カルロス・クアドラス(左)は現役引退を表明している
text by

杉浦大介Daisuke Sugiura
photograph by
Hiroaki Finito Yamaguchi
井上拓真が那須川天心にプロ初黒星を擦りつけたWBC世界バンタム級王座決定戦は日本中のスポーツファンを熱狂させた。そしてそのアンダーカードでも、ある新鋭がメインに勝るとも劣らないほどの素晴らしいボクシングでファンを魅了している。
11月24日、トヨタアリーナ東京。プロわずか3戦目のリングに立った坪井智也は、かつてWBC世界スーパーフライ級王座を6度防衛し、現在同級1位のカルロス・クアドラスを相手に8回TKO勝利を飾った。
ただ勝ったというだけではなく、全盛期にはローマン・ゴンサレスやファン・フランシスコ・エストラーダといった大物たちと激闘を演じたクアドラスを圧倒した試合内容も見事。そのインパクトは試合後、リングマガジンの編集人兼ライターのトム・グレイ氏をこう言わしめたほどだった。
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「正直、ツボイには度肝を抜かれた。あれでまだプロ3戦目だというのだから。もちろんクアドラスはもう37歳。2022年2月にはジェシー・“バム”・ロドリゲスに判定負けを喫していた。それでも以降、5連勝している。それほど実績あるベテランをツボイは完全にズタズタにした。試合は完全にワンサイドだった」
「1995年組」最後の大物
1996年3月、静岡に生まれた坪井はアマチュア通算106勝(10RSC)25敗。五輪出場こそ果たせなかったものの、2021年11月、セルビアのベオグラードで行われた世界選手権のバンタム級で優勝を果たした。日本ボクシング史上初の世界選手権金メダリストとして名を刻むと、今年3月のプロデビュー後も3連勝(2KO)している。
冒頭で“新鋭”とは書いたが、プロではルーキーでも、もう29歳。堤聖也、田中恒成、比嘉大吾、山中竜也、井上拓真、ユーリ阿久井政悟など、多くの世界王者を輩出したいわゆる「1995年組」の中で“最後の大物”と呼んでも遜色ないのだろう。

