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獅子の遺伝子BACK NUMBER
西武・西川愛也「ピッチャーの人生がかかっている」GG賞獲得の26歳が明かす守備論と打撃術「ヒットを打つのはこんなに楽しいのか」覚醒の舞台裏
text by

市川忍Shinobu Ichikawa
photograph bySANKEI SHIMBUN
posted2025/11/30 11:00
大きく飛躍を遂げた西武・西川愛也。チームの“顔”として期待がかかる
「“気持ち”ってすごく大事」
棒立ちでボールを捕らずに、しっかりと下半身を使って捕球する。野球をする少年少女の見本になるようなプレーである。
「ピッチャーの人生がかかっていると言い聞かせて守っていますけど、僕の人生もかかっていますからね、アハハ。必死です。でも、捕れるか捕れないかっていう際どい打球を捕るためには、そういう“気持ち”って僕はすごく大事だと思っているんです。野球には思い込みみたいなものが大事で、打席でも『打てるかな?』と不安がよぎるときは打てないんですよ。『絶対に打つ!』と思えるときはヒットになる。常に『絶対に打つ』と考えられればいいんですけどね」
西川は花咲徳栄高校時代に大胸筋断絶という大きな怪我を負っている。プロ入り後も当初は守備につけず、指名打者で試合に出場していた。長い時間、キャッチボールすらできなかった状態から、徐々に投げる距離を伸ばし、やっと守備につけた。そんな過程があるからこそ、ゴールデン・グラブ賞の受賞は人一倍うれしいのではないだろうか。
「ヒットを打つのってこんなに楽しいのか」
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守備と走力にはもともと定評があった。しかし、それだけではレギュラーポジションはつかめない。打撃面でもチームに必要とされたことが大きかった。
「今シーズン、134本ヒット打ったんですけど、どのヒットもうれしかったですね。『ヒットを打つのってこんなに楽しいのか』って思いました。どんなポテンヒットでも、うれしいんですよね」
無邪気な笑顔で語った。
改めて124試合出場を振り返ってもらうと「疲れましたね」と率直な感想をもらす。打席では1番を任されることが多く、かつ運動量の多いセンターというポジションを担って全力で駆け抜けた2025年だった。
「調子が良くていい成績を残しているときは、体が疲れていても良い気分で試合に向かえるので、あまり疲れを感じないですけどね。ヒットが打てなかったりすると、余計疲労がたまる感覚です。気持ちは成績と比例しているんだなって気づきました」
「フル出場できれば…」コーチの証言
初めての経験ゆえの戸惑いや、感じた疲労などはあるだろうが、充実した1シーズンを送ったであろうことはその明るい表情に表れている。


