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車高がコンマ数ミリ足りずマクラーレン2台がまさかの失格…風雲急を告げるチャンピオン争いで裁定の要因となった“プランクアセンブリ”とは《ラスベガスGP》

posted2025/11/26 11:00

 
車高がコンマ数ミリ足りずマクラーレン2台がまさかの失格…風雲急を告げるチャンピオン争いで裁定の要因となった“プランクアセンブリ”とは《ラスベガスGP》<Number Web> photograph by McLaren Racing

ラスベガスGPでまさかの失格となったノリスとマクラーレン

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尾張正博

尾張正博Masahiro Owari

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McLaren Racing

 ラスベガスGPのチェッカーフラッグが振られてから約1時間後、レース後の車検で2位に入ったランド・ノリスと、4位に入ったオスカー・ピアストリのマクラーレン勢2台に規定違反が判明したため、国際自動車連盟(FIA)は失格処分を下した。

 FIAによれば、マクラーレンの違反は「車体の底面に取り付けられているプランクアセンブリが過度に摩耗し、厚さが規定されている最小値を下回っていたから」だという。

 F1マシンはレギュレーションによって、車体の底面の中央にプランク、スキッド、取付部からなるプランクアセンブリを取り付けなければならないことになっている。

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 プランクはアイルトン・セナの死を受けて1994年に安全対策として導入され、その後、何度か細かな修正が行われながら現在に至っている。

 プランクアセンブリの厚さは、新品の状態で10mm(±0.2mm)と定められている。車体底面に取り付けられているために摩耗で擦り減っても良いことになっているが、過度に車高を下げることを防止するため、最小値が9mmに定められている。

違反が起こる理由

 車検の結果、マクラーレンの2台が最小値を下回っている疑いがあるため、FIAの技術委員は違反をスチュワード(審議委員)に報告するとともに、マクラーレンの代表者を召喚。FIA、スチュワードおよびマクラーレン代表者3名の立会いのもと再測定することとなった。

 測定に使用された計器は今年の5月に購入された日本のミツトヨ製マイクロメーターで、メーカー仕様書によれば0.001mm以内の精度を有する。

 再測定の結果、ノリスのプランクアセンブリの厚さは、フロントの右側で8.88mm、リアの右側で8.93mmしかなかった。また、ピアストリもフロント左側が8.96mm、フロント右側が8.74mm、そしてリア右側は8.90mmしかなかった。

 プランクアセンブリの違反は決して珍しいものではない。2023年のアメリカGPでは、当時メルセデスに在籍していたルイス・ハミルトンとシャルル・ルクレール(フェラーリ)が失格となった。

【次ページ】 チャンピオンシップへの影響

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