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大谷翔平WBC出場へ「球団と選手の契約書に“出場禁止”の条項はない」侍ジャパンへ3つのハードル「ドジャース」「選手会」「代理人」それぞれの思惑
text by

山田結軌Yuki Yamada
photograph byGetty Images
posted2025/11/23 11:04
前回大会では投手と打者の二刀流で活躍し日本を頂点へと導いた
加えて保険の問題がある。前回大会ではドジャースのクレイトン・カーショー投手に対するWBC期間中の保険料が高額だったことで、参加許可が一転した。WBC期間にケガをして、シーズンに悪影響が出た場合、欠場期間の年俸を保険会社が支払う。金額は明かされていないが、2週間の大会期間として保険料が見合うものではなく、高額と判断されレジェンド左腕のWBC初参加は実現しなかった。
大谷は今や野球界を代表するスター。世界へメッセージを発信する存在でもある。前回大会の優勝後、大谷はこんな思いを明かしている。
「日本だけじゃなくて、韓国もそうですし、台湾も中国、その他の国ももっと野球を大好きになってもらえるように。その一歩として優勝できたことがよかったし、そうなってくれることを願っています」
野球の「伝道師」としての思い
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愛する野球の楽しさを広める“伝道師”としての思いがある。さらに次の世代へ夢を与える存在になることもまた、使命であり望みだ。
「第1回大会から先輩たちが素晴らしいゲームをしてもらって、実際に僕らがみてきて『ここでやりたいな』という気持ちにさせてもらったのが一番大きい。今回、優勝させてもらって、そういう子たちがまた増えてきてくれたら、本当に素晴らしいことだと思います」
MLBで唯一無二の二刀流を貫く大谷は、世界一の選手だ。大谷の思いに共感したドジャースが出場を“制限付き”で許可する可能性が最も高いのではないだろうか。そして大谷は、大会連覇を目指しながら、レギュラーシーズンの開幕に向けての調整も進めなければいけない。では、仮に大谷が出場できる場合、大会MVPを獲得した前回のように投手と打者の二刀流は可能なのか。その実現には、いくつか懸念があることも確かだ。〈つづく〉


