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「僕のひと目惚れでした」五輪金メダリスト松山恭助28歳が叶えた“まるで映画”な国際結婚…パリで出会い、エジプトで急接近、香港で小籠包デート
text by

田中夕子Yuko Tanaka
photograph byKyosuke Matsuyama
posted2025/11/22 11:00
今年8月に結婚を発表したフェンシング男子フルーレ日本代表の松山恭助(28歳)。お相手はポーランド代表のアレクサンドラ・イェグリンスカさん
パリ五輪まであと6カ月。世界ランキング1位につけていた松山は、五輪出場の権利はほぼ手中に収めていた。
しかし、決戦の日が近づくにつれてナーバスな精神状態になっていくもの。さらに五輪を半年後に控えた時期になると、日本を含めた出場国はフランスのナショナルトレーニングセンターで合宿を行う。五輪で対戦する選手たちがそろい、直後にワールドカップが控えていたことも緊張感を増幅させていた。
そんなピリピリとした緊張感が漂うなか、松山の視線はある女性に釘付けになった。それがポーランド代表として同じ合宿に参加していたアレクサンドラさんだった。
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「すごいきれいな子だな、と。その時はユニフォームを着ていなかったので名前はわからなかったんですけど、たまたま彼女の試合を見たんです。残念ながら負けてしまったんですけど、SNSで彼女を探して『試合見たよ』とメッセージを送ったのが始まりでした」
松山はもともとフェンシング日本代表として活動を始めた当初からオレグ・マツェイチュク、フランク・ボアダン、エルワン・ルペシューなど外国籍のコーチに師事してきた。指導者だけでなく海外の選手とも交流するのが好きで、食事に行く機会なども多くあったというが、アレクサンドラさんの場合はまたその時とは少し違う。
「僕のひと目惚れでした(笑)」
距離を縮めたエジプトでの時間
アレクサンドラさんと出会った合宿直後のワールドカップパリ大会で五輪出場を決めた松山とアレクサンドラさんの距離を縮めたのは、翌月にエジプトで行われたワールドカップだった。
団体戦で決勝進出を決め、試合まで2時間ほど空いた。決勝戦に向けて短い休息と準備を進めていたが、試合に向けて集中するのは直前でいい。少しリラックスしようと会場内を歩いていると、たまたま一人でいたアレクサンドラさんに遭遇した。
話しかけるなら今しかない――意を決して声をかけると、彼女も笑顔で応じた。
「ずっとメッセージでやり取りはしていたので、その時も他愛ない話です。どんな日本語を知ってる? とか、ポーランド語で『ありがとう』はどう言うの? とか。フェンシングの話をするわけじゃなく、何でもない話ばかりでしたけど、1時間ぐらい二人で話していました」


