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「ワルぶってもバレる。嘘がつけないタイプなんだよ(笑)」人気レスラー・上谷沙弥の“カリスマ性”の正体…『鬼レンチャン』『ラヴィット!』反響後の今
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橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph byNorihiro Hashimoto
posted2025/11/20 17:00
上谷沙弥が語る『鬼レンチャン』300m走サバイバルで成長した部分とは?
今の上谷に“必要なもの”とは
スターダムでも頭抜けた存在になったからこそ、現状にもの足りなさを感じることもある。渡辺桃や朱里のように凄い試合、いい試合ができる“強敵”はいる。ただ“ライバル”がいない。
「やっぱりプロレスラーはライバルがいてなんぼだと思うんだよね。今はいないなぁ。たとえばなつぽいが挑戦してきた時も“べつに嫉妬してないし”みたいな感じだった。もっと面白い奴だと思ってたんだけどね。“あんたはヒールらしくない”って言われたけど、じゃああなたは何なのって。もっと自分をさらけ出して、自分の世界観をぶつけてきてほしい。ジェラシーでも何でも、本気で“上谷沙弥を引きずり下ろしてやる”って食いついてくる相手と闘いたい」
上谷の活躍は、誰もが認めざるを得ないものだ。だから対戦相手も「上谷は確かに凄い。だけど……」といった表現を使いがちになる。
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「中野たむはそうじゃなかった。感情を全部出して、全存在をかけて私と向き合ってきたからね。騙し討ちで赤いベルトを奪った時なんて、赤鬼みたいな顔してたよ。頭から煙出そうなくらい怒ってた」
スターダムの東京ドーム大会開催を目指す上谷だが、それが実現した時にメインイベントで自分と闘う相手はまだ想像できないという。
「それは、もっと面白くなる可能性があるってことだけどね」
上谷沙弥という存在を丸ごと食ってやろうというライバルが出てきた時こそ、スターダムは新たな局面を迎える。“沙弥様”の物語、そのピークはMVPよりもさらに先にあるのだ。

