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「むっちゃくちゃ不安でした」ドラフト会議で3位指名…最速147キロ左腕はなぜ「高校生でトミー・ジョン手術」を決めた? 背景にあった“全員一致の目標”秘話
posted2025/11/11 06:01
オリックスからドラフト3位指名を受け笑顔を見せる健大高崎の佐藤龍月。在学中にトミー・ジョン手術に踏み切る大きな決断をしていた
text by

田口元義Genki Taguchi
photograph by
JIJI PRESS
今年も大きな盛り上がりを見せたドラフト会議。中でも注目を集めた一人が、高校在学中にトミー・ジョン手術を受けながらオリックスから3位指名を受けた健大高崎の佐藤龍月だ。異例の決断のウラには、指導者たちのある願いがあった。《NumberWebレポート全2回の1回目/つづきを読む》
待ちわびたその時が訪れる。
オリックスからドラフト3位で指名された健大高崎の佐藤龍月の喜びは、頬を伝い、溢れ出す涙が物語っていた。
会見場で佐藤の様子を見守っていた生方啓介の感情もまた、教え子とシンクロしていた。
野球部長は「むっちゃくちゃ不安でした」
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監督の青柳博文の腹心として20年も苦楽を共にする野球部の部長は、チームではヘッドコーチの肩書を持つ。今年はピッチャーを中心に見ていることもあり、指導者のなかでは佐藤との関わりは深い。
ドラフト当日の心境について、言葉を溜め「むっちゃくちゃ不安でしたね」と生方が思い出す。普段は「自分」や「私」と冷静に一人称を用いる彼が、「俺」を無意識に口にしたところに感動がリアルに伝わってきた。
「本人も不安だったと思うんです。ドラフトにかかるか、かからないか、というところで。あの姿を見て、俺も泣きそうになりました」

