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藤川球児監督の“気になる発言”「阪神タイガースファンは日本で最も熱い」その真意…“ファンは戦力”と言い切る男、なぜ新しい監督像なのか?
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岡野誠Makoto Okano
photograph byKiichi Matsumoto
posted2025/11/06 06:01
阪神を率いる藤川球児監督、45歳
落合監督は勝ちだけに邁進した。観客の最大の喜びは勝利だという信念があったからだ。しかし、勝つための情報統制がメディアから煙たがられた。当時、SNSが発達していれば、落合監督のイメージや評価はもう少し違ったかもしれない。
「“お客さん”と思ったことない」
藤川監督は報道陣にリップサービスはしないが、ファンへの感謝は頻繁に口にしている。他チームの監督や選手のほとんどが「皆さんの声援のおかげで」などの定型文を繰り返すなか、背番号22は何度も言い回しを変えた上で、ファンの大事さを説いている。
■4月7日 初の甲子園での試合前日に
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-甲子園の雰囲気はお客さんの熱気も含めて。
「お客さんと思ったことないですけどね。ファンの方々ですから。すごく大切な戦力ですよね」
■6月18日 阪神 8―1 ロッテ(甲子園)※佐藤輝明の19号2ランなどで7連敗から脱出
-八回には猛攻撃。
「一気に甲子園球場のボルテージも上がってね。まるで埼玉と仙台にみんなで行って、みんなで帰ってきたという感じで一体感が出て、最後に佐藤(輝)のホームランも出て、野球って面白いなとまた感じましたね」
■7月29日 阪神1-0広島(甲子園)※大竹耕太郎が7回無失点で6勝目
-大竹はピンチでも、らしさを貫いた。
「抑えた時に大竹コールが出るぐらいですから。ファンの方と一緒に戦えている。今日はファミリーデーですから(笑)。みんなで守り切った、いい1日になったんじゃないかなと思います」
試合後のインタビューで何度も言及しつつ、毎回のように言い方を変えている。「すごく大切な戦力」「まるで埼玉と仙台にみんなで行って、みんなで帰ってきたという感じ」「(ファンを含む)みんなで守り切った」と言われれば、ファンも「自分も阪神タイガースの一員」という意識を持てるのではないか。
ファンに要望も…「選手に叱咤も」
このように一体感を強調しながら、プレーへの具体的な反応についても触れている。

