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プロ野球PRESSBACK NUMBER
「えっ、あの選手がなぜ?」大阪桐蔭エースも六大学3冠王も“指名漏れ”…ドラフト明暗の真相「名門だと下位で指名しづらい」プロ野球スカウトが証言
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西尾典文Norifumi Nishio
photograph byPPAB-lab.
posted2025/10/31 11:03
惜しくも指名漏れとなった大阪桐蔭高校の主将・中野大虎(左)。東京六大学の3冠王・山形球道の名前もコールされなかった
「結果を残していることはもちろん重要ですが、プロのスカウトはどうしても選手の将来性に重きを置くことが多いのが実情です。ドラフトの時期になると“即戦力”という言葉を耳にしますが、アマチュアのレベルで走攻守三拍子揃っていて結果を残していても、プロのレベルになると“すべてが平凡”というケースもよく見かけます。コーチから『この選手は何が良いのか見えない』と言われることもありますね。逆に課題が多くても、たとえ実績がなくても、とにかく足が速い、遠くへ飛ばせる、必殺の変化球があるなどプロで勝負できる飛び抜けた特長がある選手の方がスカウトは評価しやすい。前者のようなバランスが良くて結果を残している選手が指名漏れするのはそういう理由もあると思います」
今年指名された選手で言えば山崎太陽(創価大→ヤクルト3位)はリーグ戦では4年間でわずか10試合の登板で0勝。実績という意味ではかなり不足しているが、大学で捕手から投手に転向し、193cmという長身でまだまだ“伸びしろ”があると判断された点が高い評価につながったと言えそうだ。
球団の戦力事情やその年の傾向にもよるが、3年後、5年後に大化けしそうな素材のほうが編成に推薦しやすいというのがスカウトの本音のようだ。
実力だけでなく、さまざまな要因が絡むドラフト指名。さらに、今年は興味深い傾向が見えてきた。それは現在、故障を抱えている、もしくは故障歴がある選手が多く指名されているという点だ。〈後編に続く〉

