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「中卒でこの世界に入って…」「ドMなのかな(笑)」16歳でデビューした女子プロレスラーの美徳…稲葉ともかが何度も繰り返した“ある悔しさ”
posted2025/10/29 11:03
JTOの1期生として団体を引っ張る女子プロレスラーの稲葉ともか
text by

橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph by
Norihiro Hashimoto
女子プロレスラーの稲葉ともかは2002年7月24日生まれで、17歳になる直前の2019年7月8日にデビューした。TAKAみちのく率いる団体JTOの1期生だ。
中学を卒業すると、地元の愛知県豊川市を出てプロレス界に。もともと、フルコンタクト空手で小学生時代から全国大会に出場していた。父親が空手の先生。プロレスでも活躍した誠心会館の青柳政司館長に指導を受けたこともある。
プロレスを見るようになったのは家族旅行がきっかけ。プロレスファンだった母の提案で、沖縄プロレスを会場観戦した。中学生の頃には、実家のお寺の境内でTAKAの前団体KAIENTAI-DOJOの野外大会が開催されたことも。
高校進学をせず、道場に入門した理由
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プロレスラーになろうと決意したのは「母の夢を継ぐため」だった。若き日にプロレスラーを目指していた母は、交通事故の後遺症で入門テストを断念せざるを得なかったという。
「その話を聞いて“私がお母さんの夢を叶えたい”って思っちゃったんですよ。なんでしょうね、家族がとにかく大好きで」
15歳でKAIENTAI-DOJOに入門。高校には進学しなかった。
「行くつもりだったのは空手部のある高校で、目的はそれだけ。だったらその3年間をプロレスに使いたいと思いました」
KAIENTAI-DOJOは怪我で退団したが、プロレスをやめるつもりはなかった。TAKAが新たに立ち上げたJTOに入門。交通事故に見舞われる不運もあったが、旗揚げ戦でデビューを果たした。その試合を見て、妹のあずさもプロレスラーを志すことに。
「中卒でこの世界に入って、プロレス以外にできることがないんですよ。他にやりたいこともないですし」

