大谷翔平の舞台裏:ドジャース異聞BACK NUMBER

大谷翔平「さっき言った通りですね。同じ質問なので…」記者会見で大谷が“口にしない”話題…「10奪三振&3HR」二刀流を支えるメンタリティの舞台裏 

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斎藤庸裕

斎藤庸裕Nobuhiro Saito

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posted2025/10/28 06:00

大谷翔平「さっき言った通りですね。同じ質問なので…」記者会見で大谷が“口にしない”話題…「10奪三振&3HR」二刀流を支えるメンタリティの舞台裏<Number Web> photograph by Getty Images

現地で取材を続ける記者が見た、大谷の成功を生むメンタリティとは

「さっき言った通りですね。同じ質問なので」

 メジャー18年目の大ベテランやMLB取材歴20年以上の名物記者を圧倒した。もはや今に始まったことではないが、大谷は何度も、二刀流に対する“批評”を覆してきた。

 驚異的なパフォーマンスを披露した2日前、メディアとの質疑応答で打撃に関する質問が集中していた。中でも目立ったのが、二刀流の負担が影響しているのではないかとの趣旨の質問だった。大谷の答えは一貫して、「体感ではあまり関係ないと思ってます」だった。似たような問いに対し、「さっき言った通りですね、はい。同じ質問なので」と、苦笑いで一蹴した。さらに同様の種類の質問は続いた。

「二刀流としてブランクがあるから、調整が難しいということはあるか」

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 これに対し、大谷は言葉を絞り出すように言った。

「あまり関係はないのかなとは体感では思ってるので。シーズンの後半もスケジュール通りに来て、打席もまあ、それなりの感覚では送れてはいた。さっきの質問と同じ答えにはなるんですけど、あまり関係はないのかなとは感じてます」

 同様の返答を繰り返すしかなかった。自らの意思を尊重され、二刀流のプレーを続けている限り、投打のどちらかが、どちらかの成績に影響を与えるということを大谷が口にすることはない。

過去にも“心配の声”が上がったが…

 もっとも、こうしたやりとりは過去に何度もあった。

 昨年10月、初のポストシーズンを迎える前、「50―50(50本塁打&50盗塁)」を成し遂げた大谷がシーズン同様に活躍できるのか、勝負強さを問うような空気感があった。すると地区シリーズの初戦、第2打席で強烈な同点3ランを放ち、チームを勝利に導いた。

 メッツとのリーグ優勝決定シリーズ中には、ポストシーズンで期待されるほどの結果を残せなかったバリー・ボンズ、アレックス・ロドリゲスらかつての大スター選手を例に挙げられながら、低調気味だった打撃について問われた。その翌日から、大谷は2試合連続本塁打を放った。

 二刀流としては21年4月、メジャーでは初めて投打で同時出場するリアル二刀流として起用された。前年に投打でメジャー移籍後自己ワーストの成績だったことに加え、ア・リーグでDHを解除するリスクを背負うことに対して心配の声が上がっていた。だが、大谷は「2番・投手」の初打席で強烈な本塁打をマーク。雑音を黙らせた。

【次ページ】 ブーイングもプラスに変えるメンタリティ

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