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「お金がないときは、ご飯食べさせてくれた」岩谷麻優が明かす“WWEスーパースター”イヨ・スカイの素顔「泣いちゃうかも…」マリーゴールドで激突
text by

原悦生Essei Hara
photograph byEssei Hara
posted2025/10/21 17:02
10月26日に両国国技館で行われるイヨ・スカイ戦への思いを語る岩谷麻優
「お赤飯炊いてお祝いするから」イヨのやさしさ
「よく『岩谷麻優の壁を越える』って言われるんですが、それって何? と思います。1回勝てばいいの? 存在感なのか? イヨさんのタイトルマッチはずっとセコンドで見てきた。すげえ、この人には勝てないなあ、って。最後のシングルから7年半で大きく変わった。日本から海外に出て、WWEでグランドスラム取って。イヨさんの挫折とか苦悩とか間近で見てきたから、この結果は『こんな天才なら当たり前でしょう』と思える」
「尊敬し過ぎているから、この野郎、倒してやるという気持ちがあまりないですね。連絡はほとんどないです。日本に帰ってきた時にご飯やキサラのモノマネ(そっくり館キサラ)に行くこともあります。1月にアメリカで、退団しようか迷っているって話したら、『麻優が自分自身で決めるの、判断するのって初めてじゃない? 残るにしろ移籍するにしろ、お赤飯炊いてお祝いするから』って言ってくれたんです」
イヨの「お赤飯炊いて」という言葉に古き良き時代の日本とやさしさを感じることができた。
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「相談をできる人がいなかったから、やめる・やめないで迷っている頃でした。マリゴの方がイヨさんと戦えますよねって言ったら、それはどこでもオファーがあればできるんじゃないって言われました。大人の事情はあるんだろうけれど」
「14年間は前の団体、今は新しい団体。そして両国国技館のメインイベント。自分は地方の6人タッグでも嗚咽してしまう。タイトルマッチが決まっただけでも、もうリラックスできないんです」
岩谷がそんなに緊張しているというのは意外だった。
「今はSNSでアンチされまくっている。前は叩かれる人生じゃなかった。裏切ったという感覚はないです。やれることは全部やってからここに来た。SNSやめようかな。両国大会に来てほしいってポストしたらそれ自体も叩かれて」
岩谷は暗い寂しげな表情を浮かべた。話は10年ほど前のことに戻った。
「水色の髪の毛の時があって、カレンダーだったかな。集合写真を撮ったとき、『浮いてるよ』とイヨさんに言われた。嫌な言い方じゃなくて、言葉は覚えていないですが、『こうした方がいいんじゃない』みたいな感じ」
それで岩谷は水色の髪を卒業した。



