大谷翔平でも藤浪晋太郎でもない…元阪神・北條史也31歳が驚いた“大谷世代の天才”「小学生で160cm…スゴ過ぎた」恩師も証言「あの坂本勇人より上だった」 

大谷でも藤浪でもない…田村龍弘の衝撃

　北條が最初に出会った怪物。それはもっとも身近にいた。小学4年生のときに入団した堺市の浜寺ボーイズの中心選手、田村である。田村とはその後、高校まで一緒のチームでプレーすることになる。

　田村と言えば、小柄な捕手のイメージが強い。ただし、昔は同級生よりも常に頭一つぶんくらい大きかった。小学校時代から田村を知る人物は、今も昔も田村の体型はほとんど変わっていないと話す。北條の記憶の中でも田村は小さい頃の田村のままだ。

「ほぼほぼ、変わってないです。小学校のときから160センチ以上あったんで。間近でずっと見ていましたけど、田村はすご過ぎましたね。球もめちゃめちゃ速いし、打たないときがないので。調子がいいとか悪いとか、ないんです。いつでも打つんです」

ADVERTISEMENT

　光星学院時代の恩師である仲井宗基は北條と田村をこう比較する。

光星学院時代に北條史也を指導した仲井宗基監督　©NumberWeb

「田村はレベルがぜんぜん違いました。なんでもできちゃう。北條はね、高校3年間で努力したし、成長もした。でも、田村には何にも言ってないですもん。あんなの、初めて見ました。あいつは三番だったんですけど、一、二番が凡退しても、あいつがパカーンってホームランを打って1点取ってくる。そりゃ、監督は楽ですよ。高校時代の坂本（勇人＝光星学院、巨人）は穴がありましたもん。でも田村は穴がなかった。高校レベルだと、どこに投げたらいいかわからなかったと思いますよ」

　当時、東北で高校野球に携わっていた人たちに話を聞いて回ると「とにかく田村がすごかった」と口をそろえるのだ。

＜続く＞

書籍『さよなら、天才 大谷翔平世代の今』（文藝春秋）。大谷に「負けた」と言わせた少年。大谷が落選した楽天ジュニアのエース……天才たちは、30歳になってどうなったのか？　徹底取材ノンフィクション。（書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします）