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獅子の遺伝子BACK NUMBER
西武・平良海馬「“ナイスボール”って、何をもってナイスボールなんだ?」疑問から始まったセーブ王への道…今井達也も驚嘆する“鋭い感性”
text by

市川忍Shinobu Ichikawa
photograph byJIJI PRESS
posted2025/10/11 11:02
最多セーブ賞を初受賞した平良海馬
ハイテク機器を駆使して…
今井のスライダーは横に滑るのではなく、スピードを保ちつつ、縦に変化する。平良がそれまで投げていたスライダーとは全く違った。
まずは今井がどのような球質のスライダーを投げているのかを分析した。
「同じチームなので、幸いホークアイのデータを見ればすぐわかりました。そのあとはラプソードとハイスピードカメラを使って仕上げていきます。自分のリリースの手元の動画を見て、どういう握り方で、どんな回転で投げるとどういう変化が起きるのか、1球ごとにラプソードの数値をチェックしました。そして徐々に球質が安定してきたら、実戦で投げて状態を見るという感じで習得しました」
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ハイテクノロジー機器を使い、数字と自身の感覚をすり合わせていく。少しずつ握り方や手首の角度を変えて、思い描くボールに近づけていった。
「僕と今井さんの握りは違うんです。でも、あまり握りやシームの影響は気にせずに、とりあえず似たような回転を作り出せればいいかなぁっていうところを優先しました。投げるコースについては、何が最適か、もっと実戦でつかんでいくものだと思うので、さらに経験値を積んでいきたいですね」
「自分が求めていたものはこれだ」
データを重視し、それを取り入れることに長けている。そもそも平良がデータやハイテク機器をピッチングに生かそうと考えたのは、2019年のオフのことだったという。優勝旅行に行くチームメートとは行動を別にして、菊池雄星のトレーニングに参加するため単身、アリゾナに向かった。
「雄星さんと一緒に自主トレーニングをさせてもらったときに、そういった分析ツールがあることを知りました。雄星さんがいろいろなツールやデータを使ってピッチングを追求している姿を見て『自分が求めていたのはこれだ』と直感的に思いましたね」

