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獅子の遺伝子BACK NUMBER
西武・平良海馬「“ナイスボール”って、何をもってナイスボールなんだ?」疑問から始まったセーブ王への道…今井達也も驚嘆する“鋭い感性”
text by

市川忍Shinobu Ichikawa
photograph byJIJI PRESS
posted2025/10/11 11:02
最多セーブ賞を初受賞した平良海馬
ライオンズにも2024年にはデータ戦略室が設立され、トラッキングシステムなどの活用を進めてきたが、当時はまだそこまでには至っていなかった。
「たとえばキャッチャーが『ナイスボール』と声をかけてくれるボールが、本当にいいボールなのかという疑問は抱いていました。ストレートを投げたときに、高めにいけばボールが伸びて見えますし、逆に低めに行ったときはキャッチャーの目線が違うので、その錯覚の影響でボールが垂れて見えますよね。だから、キャッチャーの言う『ナイスボール』というのは、何をもってナイスボールなのか、って……。哲学っぽいんですけど、そういうことをよく考えたりしていました」
データ分析を独自に取り入れて…
その疑問に答えを出してくれたのが計測機器によるデータ分析だった。菊池との自主トレを終えたあと、平良はすぐにラプソードを自費で購入し、自身の練習に取り入れた。
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「高校生のときにプロのことを知りたくて、雑誌やテレビを見ると、やはりそこで取り上げられているのは意識の高い選手ですから、だいたいが最新の分析技術を使っている。高校生の僕は、それをプロの選手全員がやっているものだと思い込んでいたんですけど、実際に入ってみると意外とそうではなくて驚きました」
そんな平良にとって、菊池は高度な練習を実践している人物であり、その考え方や行動が一貫している目指すべき投手像だった。
そして、平良が菊池から影響を受けたのは練習やピッチングに関する考え方だけではなかった。平良の考え方を変えた菊池の姿とは? キャリアを重ねたことによって起きた心境の変化についても聞いた。
〈後編につづく〉

