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「決して楽じゃなかったし、綱渡りもあった」モンスター・井上尚弥を支えるTEAM INOUEの存在…大橋ジム会長の証言「小型ボートが空母になった」
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渋谷淳Jun Shibuya
photograph byHiroaki Finito Yamaguchi
posted2025/09/30 17:01
無敗の王者・井上尚弥を支えるチームの存在は、アフマダリエフ戦後のマイクで明かされた
こうして11年あまり、大橋が「全責任は船長である私が持つ。何も恐れることなくやってくれ」と言い続けたチームはどんどん大きくなり、大橋曰く「小型ボートが空母になった」のである。
練習を支えるトレーナーは年々数を増した。真吾が現場を統括し、太田がミットを持つ。元オリンピアンの鈴木と元3階級制覇王者の八重樫東は主にフィジカルトレーニングの担当だ。ノニト・ドネア第1戦('19年11月)で井上の出血をピタッと止めたカットマンの佐久間史朗、試合中に抜群のタイミングで素早くスツールを上げ下げする福田昇、経験豊かな松本好二らが脇を固める。加えてマッサージ師や栄養士、遠征先でシェフやヘアスタイリストが活躍するのもチーム井上ならではだろう。
ひょんなことから井上尚弥のミット担当に
途中からチーム入りした太田はいまや欠くことのできない中心メンバーだ。元大橋ジムのミニマム級選手で10戦して6勝(3KO)4敗。現役生活は3年あまりと短い。'09年の引退後はボクシングから離れ、現在も続けている家業の建築業にいそしんでいたが、大橋に声をかけられ、'16年にトレーナーとしてジムに戻ってきた。
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「最初は3階で一般会員さんを担当していて、プロが練習している4階にはたまに手伝いに行く程度でした。それがあるとき、本人から『ワンツーだけミットを持ってくれませんか』と言われたんです。彼と話したのはたぶんそのときが初めてでした」
井上の感性が新しく入った若いトレーナーに反応した。2人のミット打ちが初めて実現した瞬間だ。選手とトレーナーが一対一で行うミット打ちは、呼吸が合うか合わないかが練習の質を左右する。井上はこのとき、自分と5歳しか違わない太田に、確かな相性の良さを感じたのだ。
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