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なぜ女子プロレスラー・上谷沙弥は“お茶の間”にウケたのか?「涙も流す悪役」という魅力、23年ぶり地上波生中継で“じつは画期的だった”試合形式
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橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph byNorihiro Hashimoto
posted2025/09/29 11:01
9月27日、YouTube無料生配信となった一戦で、AZMを締め上げる上谷沙弥
段違いの“世間へのアピール度”
11月3日の大田区総合体育館大会では、上谷の2つのベルトにリーグ戦優勝者の渡辺桃が挑戦する。“沙弥様”がリードする盛り上がりには、まだまだ先がありそうだ。後楽園大会では不本意な試合になった羽南へのコール、上谷に立ち向かうAZMへの声援も記憶に残る。会場で見れば、あるいは大会中継をフルで見れば、上谷以外にも魅力的なレスラーがたくさんいることが分かる。そこに“沼”が待っている。
上谷が目標として掲げていたプロレス大賞の(男子も含めた)MVPも具体性を帯びてきたと言えるのではないか。とにかく“世間”へのアピール度が他の選手たちとは段違いだ。加えて上谷は、スターダムの東京ドーム大会という野望も明かした。
「今年に入って“たくさんの人たちにプロレスを見てもらう”って言い続けて、その夢が昨日叶って、これからさらなる目標……お前らを東京ドームに連れてってやるよ!」
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理想が高いから、自分に課すハードルも高い。『鬼レンチャン』ではこんなことも言っていた。
「頑張り続けないと、みんなに伝え続けることはできない。もっともっとプロレスを知ってほしい」
番組では今の上谷の活躍を“プチブレイク”と表現していた。プロレス界ではMVP級でも、世間一般の尺度では“プチブレイク”なのだ。
まだまだやることはたくさんある。ただ最近少し痩せた印象もあり、疲れ気味なのかなとも思う。なにしろ『ラヴィット!』のレギュラー期間中は、金曜朝は必ず東京にいなくてはいけなかった。当たり前だが、地方巡業中でもだ。
春頃には「今はとにかく突っ走るしかない」と言っていた上谷だが、これからはスケジュール調整、コンディショニングも重要になってくる。実際、AZM戦翌日の大会は欠場を余儀なくされた。今の人気をベースとして、そこからどこまで飛べるか。新しい時代の、まだ見ぬ景色が上谷とスターダムを待っている。

