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なぜ女子プロレスラー・上谷沙弥は“お茶の間”にウケたのか?「涙も流す悪役」という魅力、23年ぶり地上波生中継で“じつは画期的だった”試合形式

posted2025/09/29 11:01

 
なぜ女子プロレスラー・上谷沙弥は“お茶の間”にウケたのか?「涙も流す悪役」という魅力、23年ぶり地上波生中継で“じつは画期的だった”試合形式<Number Web> photograph by Norihiro Hashimoto

9月27日、YouTube無料生配信となった一戦で、AZMを締め上げる上谷沙弥

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橋本宗洋

橋本宗洋Norihiro Hashimoto

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Norihiro Hashimoto

 さながら“上谷ウィーク”だった。

 スターダムの“赤いベルト”ワールド王座を持つ上谷沙弥は、9月21日に『千鳥の鬼レンチャン』(フジテレビ系列)に2度目の登場。女子300m走サバイバルに挑んだ。

 300m走を短いインターバルで繰り返し、1本につき最下位1人が脱落。優勝を決めるまで“レンチャン”で走り続けるという、相当に過酷なルール設定だ。2月の第1回は決勝進出を果たし4位となった上谷。今回は準決勝脱落の5位に終わったが、ゴールデンタイムの人気番組、その特番に“主役”の1人として連続で登場した意味は大きい。

女子プロレス“23年ぶりの地上波生中継”

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 上谷は昨年夏にヒール転向、12月に団体トップの証である赤いベルトを巻いた。そこから2月の『鬼レンチャン』登場で知名度を上げ、4月には横浜アリーナでのビッグマッチでメインイベントを務める。中野たむとの敗者引退マッチは大きな話題となり、スターダム史上最多となる7503人の観客動員を記録した。

 2度目の『鬼レンチャン』から5日後には、朝の情報バラエティ『ラヴィット!』(TBS系列)に出演している。この3カ月、番組の金曜シーズンレギュラーに抜擢され、この日は出演最終日。卒業記念企画として、番組後半に上谷の試合が行われた。

 夢だったという地上波生中継でのプロレス。女子では23年ぶり、TBSでの生中継となると51年ぶりだという。別スタジオに設営されたリングで同じスターダム所属の羽南と対戦し、上谷は得意技のスタークラッシャーで勝利を収めた。

 さらにその翌日、9月27日はスターダムの後楽園ホール大会。メインは上谷が赤いベルト、AZMがSTRONG女子王座をかけたダブルタイトルマッチだ。勝利した上谷は2冠王となった。

 さまざまなメディア出演と激闘の連続で高まっていた上谷の人気と存在感。この1週間でそれに特大のブーストがかかった感じだ。

【次ページ】 「いかにもな悪役ではない」上谷の魅力

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