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《独占インタビュー》井上尚弥が試合後に明かした真相…「アフマダリエフは何もできない」と確信した瞬間「あのスタイル、いつでもできますから」
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渋谷淳Jun Shibuya
photograph byNaoki Fukuda
posted2025/09/27 17:02
最大の難敵と目されたアフマダリエフに対し、見事なアウトボクシングで勝利した井上尚弥
「そうです。映像を見返しましたけど、やっぱり特別なことはしてない。特別なスタイルを用意したわけじゃないんです」
――分かります。「井上尚弥=KO」という強い先入観がそう思わせるのでしょう。いずれにしても見事なボクシングでした。今回、戦術を徹底するための過程が練習にあったと思いますが、準備段階からいい感触はつかめていましたか。
「何年も前から、荒々しくというか、相手にダメージを与えるようなスパーリングはしていません。普段のスパーリングでは足を使って技術で戦っているんですよ。ただ、試合になれば倒しにいかなくちゃいけない相手っているじゃないですか。去年からの3試合(TJ・ドヘニー、キム・イェジュン、ラモン・カルデナス)がそうです。ああいう選手に判定でもいいや、という考えはダメなんですよ。一方で判定でもいいから勝たなくちゃいけない試合もあります」
王者の選択、KOか判定か
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――今回のアフマダリエフ戦、スーパーバンタム級の王座を獲得し、4階級制覇を達成した'23年7月のスティーブン・フルトン戦や昨年5月のルイス・ネリ戦がそうですね。
「はい。倒しにいくボクシングも、判定で勝つボクシングも、自分はどの試合でも両方準備しています。フルトンやネリのときは結果がKOだっただけで、倒しにいこうとは思っていません。加えて最近はカルデナスとネリ戦のダウンがあって、打ち急いでいたところが少々あるからそこを抑えようということです」
――徹底という意味では、スタートから作戦通りのボクシングを忠実に実行しました。どのあたりから「いける」という感触をつかみましたか。
「1ラウンドは互いに手数が少なく、自分はジャブと右ストレートを下と上に一発ずつくらい。ムロジョンも左を振ってきませんでした。互いに初回に感じたことがあって、相手が2回以降にどう変えてくるのか、何を探っているのか、何を隠しているのか……。警戒してたんですけど、4回あたりで『あっ、これは何もできないんだな』と確信しました。表情で分かるんですよ。焦ってきているとか、やりたいことがやれないというのは」
<続く>
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