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21歳プロレスラーの悲劇…事故で亡くなった長尾一大心はどんなレスラーだったのか?「いいドロップキックを…」「愛嬌のある人なつこい性格」
text by

原悦生Essei Hara
photograph byEssei Hara
posted2025/09/19 17:12
今年5月31日、巡業バスとの接触事故に遭った全日本プロレスの長尾一大心。デビューから11カ月目の9月7日、21歳の若さで死去した
「カッコいい先輩でいなきゃ…」宮原健斗の思い
この日、選手たちの多くは長尾のコスチュームカラーである緑のリストバンドなどをつけてリングに上がっていた。
鈴木と6人タッグマッチで対戦したオーストラリア人のザイオンは、涙が抑えられず、試合を終えると本部席からこの日の試合を見守っていた長尾の遺骨に手を添えた。
準決勝で関本大介を倒して決勝に進んだ宮原は、もう一つの準決勝で綾部蓮を下して勝ち上がってきた本田竜輝と決勝で対戦した。
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本田は3年連続のファイナリストだったが、もう一歩のところで、宮原のシャットダウンスープレックスホールドに沈んだ。結果、宮原は3度目の王道トーナメント優勝を果たした。
マイクを手にした宮原は長尾への思いを語った。
「一大心のことがあり……僕ら、全日本プロレスのレスラーはみんな、一大心の気持ちを、それぞれのレスラーが、今、持ってると思います。一大心は、北海道釧路から、このプロレスのリングに、夢を見て……上京してきたから。一大心はこの全日本プロレスのプロレスラーであることに誇りを持っていました。だから僕たち全日本プロレスは、一大心が誇ったこの全日本プロレスのリングをさらにキラキラしたものにしていくんだという気持ちで前を見ていきます。プロレスファンの皆さんに1つお願いが……。プロレスラー長尾一大心のことを胸の中に思い出して日々を過ごしていただけると嬉しいです。また明日から一緒に前に進んでいこうと思います。やっぱり一大心にとってカッコいい先輩でいなきゃダメだろうと思うから。全日本プロレス、そして長尾一大心! 最高!」
宮原は優勝トロフィーと長尾の遺影を手にした。
「僕たち! 全日本プロレス、レスラー、社員は、一大心を! 一員だとまだ思ってるんで、これからも、一大心の気持ちを! また明日から、一緒に、前に、進んでいこうと思います。まだまだオレは進んでいく。次の試合は、9月23日、秋のビッグマッチ、東京立川だ! おい、チャンピオン! 斉藤ジュン! オレたちは、長尾一大心の気持ちと一緒に前に進む。オレたちの全日本プロレス、見せようじゃねえか」


