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「イノウエのプランに驚かされた」敗者アフマダリエフの“絶望”を密着記者は見た…井上尚弥に完敗したウラ側「じつはアフマダリエフ陣営は“混乱していた”」
posted2025/09/18 17:16
9月14日、井上尚弥vsアフマダリエフ。敗者が思い描いていた“番狂わせ”プランとは…
text by

NumberWeb編集部Sports Graphic Number Web
photograph by
Hiroaki Finito Yamaguchi
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「イノウエは我々のプランとはまるで異なるボクシングできた。想定していなかった」。宿泊ホテルで直撃取材したアントニオコーチは、か細い声でそう明かした。試合後の会見で「ノーコメント」と答えていた彼が、陣営の誤算を率直に語り始めたのだ。
「イノウエにスピードがあり、ステップが優れていることだって知っていた。だが……」
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アントニオの話を聞くと、もう一つの誤算は陣営内部で生じていた。「MJ(アフマダリエフ)には試合中も伝えていた。手を出さないとダメだ、カウンターを狙え、と」。しかしアフマダリエフはその指示に従えなかった。
アフマダリエフ「絶望の表情」
試合中、特徴的な表情があった。ラウンド間、アフマダリエフがコーナーに戻ったとき、ワセリンを塗られながら浮かべていた無機的な表情。話しかけるコーチたちにも視線を向けず、ただ呆然とリングを見つめていた。
そして試合から数時間後、アフマダリエフがケバブを食べに出かけた帰り道。本人に直撃取材すると、彼はこう答えた。
「イノウエはうまく、速かった。それでも、予想を大きく超えた力というものではなかった。それよりも、自分の力を出せなかったという気持ちが大きい」
その言葉を発したとき、アフマダリエフの表情はやはりコーナーのときと同じ無機質なものだった。それは単なる敗北の失望ではなく、もっと根本的な何かを悟った者の表情に見えた。打たなかったのではない、打てなかったのだ。
翌朝、陣営で戦術を担当するジョエルコーチは一足先に単独で帰国の途についた。「敗戦がジョエルを早く帰国させたのだろうか」と尋ねると、アントニオは「さぁ、どうだろうね。かもしれないし、最初から決めていたのかもしれない。もちろん悔しいさ。僕らみんなそうだから」と静かに語った。
アフマダリエフ陣営、“2つの誤算”は本編でさらに詳しく描かれている。
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この文章の本編は、以下のリンクからお読みいただけます。
