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ボクシングPRESSBACK NUMBER
「アフマダリエフだから倒れなかったですけど…」“最も拳を交えた男”が明かす井上尚弥の進化「何しに来たのかな…絶望感があった」怪物との練習
posted2025/09/19 11:05
圧倒的なボクシングでアフマダリエフをしりぞけた王者・井上尚弥
text by

森合正範Masanori Moriai
photograph by
Naoki Fukuda
インタビュー後編では、井上のアウトボクシングの特長、モンスターの今後などを解説してもらった。《NumberWebインタビュー全2回/前編から続く》
◆◆◆
「昔はなかった」井上が行っていたモデルチェンジ
――それではアウトボクシングの話にいきましょうか。
「大枠としては、僕がスパーリングをやっていた時のスタイルと、あまり変わりません。要所で打って、よく動く。僕がいこうとするとパンチの合間に、井上選手の素早いパンチが挟まれる。それこそアフマダリエフの4ラウンドのような感じです。ただ、自分とスパーをやっていたころは、もっと忙しく動いていた。今回の試合は結構スタンスが広かったじゃないですか」
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――その意図は?
「スタンスを広くとって、動きと安定性の両立というんでしょうか。アフマダリエフ相手に今までのスタイルだと、下がったときに押し込まれる可能性がある。やっぱり相手はパワーがあるし、前に出る力もすごいので、下がったところでしっかりぐっと足を踏ん張って止まる。それでスタンスを広くして、後ろ重心と前重心を結構使い分けていましたね。あれも昔はなかった。今回は上体の重心を前、後ろ、横と細かく動かして、相手の動きに合わせた選択をしていましたね」
――当時からバージョンアップしているんですね。
「アウトボクシングといっても、動きっぱなしではなく、打つときはしっかり足を止めて打つ。本当にわずかな距離調整、自分がしっかり打ち込むための距離調整をモデルチェンジしたのかなと思います」
スパーリングで、どう対応しましたか?
――しっかりダメージを与えるシーンもありました。
「あとは、とにかく速かったですね。結構、緩急もつけていましたし。スピードが落ちていないというか、逆に筋肉量も増えているので出力も上がっていると思うんですよ。筋肉量が上がる、イコール、スピードも上がる。それにプラスして、当時より減量苦もなく、足がつることもない。12ラウンド、アクシデントはなかったですし、かえって、あのスタイルをやるのは今かもしれません」
――当時、スパーリングで井上選手がアウトボクシングをしてきたときは、どう対応しましたか。
「パンチが当たらないですね。で、前にいくと、カウンターをもらう。それでも前に出ないとスパーにならない。もらってもプレスをかけて、プレスをかけて、っていう感じでした。もちろん、試合だったら、たぶん効かされて倒されると思いますが……」


