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ボクシングPRESSBACK NUMBER
「最後の望みを絶たれ…沈んだ表情に」アフマダリエフが井上尚弥に心を折られた瞬間…元世界王者・飯田覚士の見解「中谷潤人選手はやりにくいと思ったでしょうね」
text by

二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph byHiroaki Finito Yamaguchi
posted2025/09/18 11:10
最強の挑戦者アフマダリエフを12回判定で完封した井上尚弥。この試合のポイントを元世界王者・飯田覚士が徹底解説した
「こういう戦いもできるんだと示した形になりました。もし今後もこのボクシングをやっていくとしたら、一層怖いチャンピオンになりますね。ステージが一段階上がったと言えるでしょう」
最強の挑戦者と位置づけたアフマダリエフを退け、12月にはサウジアラビアでのWBC1位アラン・ピカソとの防衛戦を予定する。WBC・IBF世界バンタム級王座の返上が取りざたされる中谷潤人も同興行での試合が噂されている。2人とも“前哨戦”をクリアすれば、来春東京ドームでの対戦が実現する可能性が高くなる。
中谷も今年6月、西田凌佑との王座統一戦で1ラウンドからフルスロットルの強襲スタイルを披露して驚かせた。今回、その中谷をリングサイドに招待。井上が見せたサプライズは、少なからず中谷を意識しているかのようにも受け取れる。
中谷にすれば「やりにくいと思ったでしょうね」
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お互いにどんなスタイルでも戦えるという自己主張。メガマッチに向けていやがうえにも期待が高まる。
飯田は言う。
「尚弥選手が6、7、8ラウンドあたりでKO勝ちを収めるより、隙を見せることなく12ラウンド使って勝ち切った今回の戦いのほうが、中谷選手とすればやりにくいなと思ったでしょうね。KOしようとすればアクセルを吹かしてくるので、どこか隙みたいなものが生まれてくる。でもそこを出せないんだったらなかなかに(攻略は)難しいわけですから。2人の戦いはもう始まっていると言ってもいいのかもしれませんね」
ほかならぬ飯田自身が、楽しそうに言葉を弾ませる。
KOにこだわらない井上尚弥ほど怖いものはない。そう世界に知らしめた先制パンチは、なかなかに強烈である。


