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ボクシングPRESSBACK NUMBER
「必ず倍返しが待っていた」最強挑戦者アフマダリエフは井上尚弥の“アウトボクシング”になぜ圧倒された? 元世界王者・飯田覚士が語る「いい意味で裏をかかれた」
posted2025/09/18 11:09
最強の挑戦者アフマダリエフを12回判定で完封した井上尚弥。この試合のポイントを元世界王者・飯田覚士が徹底解説した
text by

二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph by
Takuya Sugiyama
「あんなアウトボクシング見たことがない」
「アウトボクシングもいけるでしょ!」
最強の挑戦者と位置づけたムロジョン・アフマダリエフを見事なまで完封した井上尚弥は名古屋・IGアリーナに集まった1万6000人に試合直後のリングインタビューでそう呼び掛けた。この試合を独占配信した「Lemino」によるWOWOWエキサイトマッチとのコラボ企画で東京から解説した元WBA世界スーパーフライ級王者・飯田覚士は、心のなかで「えっ!」と驚いたという。
「こっちとしてはアウトボクシングを見ているつもりなんてさらさらなかったので(笑)。間合いを取らない、足を使わないあんなアウトボクシングなんて見たことがない。普通、アウトボクシングというとポイントを取って勝ち逃げしていくっていうイメージがあるじゃないですか。まったくそうじゃない。あれを尚弥チャンピオンがアウトボクシングと表現するなら、最上級に攻めまくるアウトボクシングでしたね。
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これまでも僕の想像を超えてきましたけど、今回はその遥か上。(試合前から)判定でいいと言うのはきっと自分を抑制するためであって、でも井上尚弥は倒しに行くでしょみたいな先入観がこびりついている。でも本当に抑制して、圧倒しながら判定で勝つということをゴールにして、そのとおりに成し遂げた。いい意味で裏をかかれた気分です」
ならば井上尚弥流アウトボクシングの真髄とはいかなるものだったか――。
9月14日、世界スーパーバンタム級4団体タイトルマッチ。WBA暫定王者のアフマダリエフはここまで14勝11KO1敗のキャリアを誇り、元2団体統一王者の肩書を持つ強打のサウスポーだ。
「この時点で一歩リードしたと…」
静かにスタートした1ラウンド。開始20秒過ぎ、井上が最初に高速ジャブを当てた場面から“違い”を見せていく。


