スポーツ・インテリジェンス原論BACK NUMBER

金髪フィアンセとのキスシーンに騒然? 高校時代はアウトサイダー、「アメリカを捨てた男」と中傷も…世界陸上で話題の棒高跳・デュプランティスとは何者か 

text by

生島淳

生島淳Jun Ikushima

PROFILE

photograph byKiichi Matsumoto

posted2025/09/16 17:01

金髪フィアンセとのキスシーンに騒然? 高校時代はアウトサイダー、「アメリカを捨てた男」と中傷も…世界陸上で話題の棒高跳・デュプランティスとは何者か<Number Web> photograph by Kiichi Matsumoto

世界陸上男子棒高跳で6m30cmの世界新記録を達成したスウェーデンのデュプランティス。「新鳥人」はいかにして成長したのか

 父母ともに、トレーニングについては厳しい。そして家の中には半球状の「円馬」と呼ばれる旋回の練習具が置いてあったりする。棒高跳びには体操競技の要素も強く、女子の世界記録保持者であるエレーナ・イシンバエワは体操出身の選手だ。

なぜ棒高跳?…高校時代「自分はアウトサイダー」

 デュプランティスは順調に記録を伸ばしていくが、成長するにつれ家族内、そして周りとの軋轢が増えてくる。高校時代から競技力はずば抜けており、父親が「高校の大会に出るのは場違いな感じ」と話しているし、ルイジアナ州は「フットボール・クレイジー」な州だから、同級生たちからは「棒高跳びとか、お前何やっちゃってんの?」という視線を向けられる。当時のインタビューでは、

「学校では自分らしくいられない。先生や他の生徒、女の子と話すのも苦手だし。自分がアウトサイダーだってことは分かってる」

ADVERTISEMENT

 と話しており、高校時代が必ずしも満たされたものではないことを認めている。

 17歳で世界の一流選手の証明である5m80をクリア。父の記録に並んだ。一気に注目が集まるが、父親との衝突も増え、父は「呆れた。まるで大物ミュージシャンの相手をしているようだ」と怒りを露わにしたこともあった。

 そして、高校在学中にスウェーデンの選手として国際大会に出場することを選択。当初、アメリカ代表になるつもりだったが、スウェーデン陸連が「お父さんを代表の棒高跳びのコーチに」という付帯条件をつけたことで、スウェーデン代表になることを選んだ。

 2017年のロンドン世界陸上では5m65を失敗してメダル争いに加われなかったが、「出世」を遂げたのは2018年のヨーロッパ選手権。当時の世界記録保持者であるルノー・ラビレニ(フランス)と競い、6m05を跳んで優勝、一躍、スウェーデンのスターとなった。

【次ページ】 世界陸上で見られた「胸熱シーン」

BACK 1 2 3 NEXT
#アルマンド・デュプランティス
#棒高跳

陸上の前後の記事

ページトップ