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「クラブハウスはお通夜のようだった」山本由伸ノーヒッター未遂で降板→悪夢の逆転負け…それでもファンの心に残る"名勝負"になった理由

posted2025/09/13 11:10

 
「クラブハウスはお通夜のようだった」山本由伸ノーヒッター未遂で降板→悪夢の逆転負け…それでもファンの心に残る”名勝負”になった理由<Number Web> photograph by Getty Images

現地9月6日オリオールズ戦、9回2死からホームランを許した山本由伸。マウンドを降りるエースをロバーツ監督はハグして労った

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杉浦大介

杉浦大介Daisuke Sugiura

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MLBで初のノーヒッター達成目前で、なぜ記録は途絶えたのか。ドジャース山本由伸(27歳)の熱投を記者席から見届けたジャーナリストがカムデンヤーズの112球を振り返る【NumberWebノンフィクション全2回の後編/前編から続く】

 ホリデーの一発のあと、山本は敵地にもかかわらず盛大なスタンディングオベーションを浴びて降板した。その多くはドジャースファンだったが、オリオールズの支持者からも拍手を浴びたように見えた。

 マウンドに歩み寄ったデイブ・ロバーツ監督が、山本を抱きしめるような仕草をしたのも名場面だった(後にロバーツ監督は「本当に素晴らしい投球だった、ファンに帽子を取って応えてくれ、と伝えた」と明かしている)。試合が3-1のまま、すんなりドジャースの勝利で終わっていたとしてもドラマチックな一戦として受け取られただろう。この日は地元の英雄であるカル・リプケンJr.の2131試合連続出場の30周年記念セレモニーも行われており、ファンは満足して家路についたに違いない。

 ところが、ドラマは終わってはいなかった。

ブルペン陣がまさかの大乱調

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 山本の後を継いだブレイク・トライネンがジェレマイア・ジャクソンに二塁打を許すと、ガナー・ヘンダーソンに死球を与え、ライアン・マウントキャッスルを歩かせ、コルトン・カウザーに押し出し四球と大乱調。よもやの連続四球で3-2と1点差に迫られ、慌てて左腕タナー・スコットをマウンドに送っても流れは変わらなかった。最後はエマニュエル・リベラにサヨナラ中前打を許し、逆転負けという信じられない展開になった。

 ノーヒッターを狙った山本が9回のマウンドに立ってから、決勝点のランナーが本塁に飛び込むまで約21分。ドジャースにとっては悪夢のような終幕であり、前日も同カードでスコットがサヨナラ弾を浴びていたというタイミングが悲劇に拍車をかけた。

【次ページ】 静まり返るベンチ裏、ベテラン左腕の声だけが…

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