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「股、開けー!」「汚いの出すな」全女で“本当にあった”下品なヤジ…人気アイドルレスラーだったジャンボ堀の証言「控室をのぞかれることもありました」
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伊藤雅奈子Kanako Ito
photograph byL)Shiro Miyake、R)東京スポーツ新聞社
posted2025/10/03 11:01
全女の女子プロレスラーとして活躍したジャンボ堀さんのインタビュー(第2回)
男性から「いやらしい目」で見られてきた歴史
――その谷底の時代に、さきほどのハリウッド映画「カリフォルニア・ドールズ」が日本で上映されて、セクシー路線の先駆けとなったミミ萩原さんが救世主となって、ようやく盛り返せましたよね。
堀 「オレたちひょうきん族」(フジテレビ系)で「ひょうきんプロレス」っていうコーナーがはじまって、全女がリングを提供したり、選手が出てたんで、また人気が出ましたよね。会社は私とミミさんをエロ路線で売ろうとして、いつも遠いロケ地まで行かされて、撮影させられた。決まってビキニ。それがすごく嫌だったんで、「法事です」って、嘘ついて断ったこともあった。
――嫌でした?
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堀 嫌ですね。女子プロレスって、もとはキャバレーまわりやストリップ劇場の幕間からはじまったもので、男の人からいやらしい目で見られてきた歴史があるじゃないですか。それを、私たちの力で変えていこうっていう思いが強かったんですね。会社からは、「男子プロレスは観るな」「男子の技を真似するな」って言われてて、ようは、男子は筋力や腕力があるんで、力を見せる技が映える。でも、「女子は綺麗さや可憐、しなやかさ、スピードを見せなきゃいけないから、男子との違いをアピールしろ」って言われたからこそ、エロさではなく、闘いで変えていきたかったんだけど、ミミさんがああいうね、露出が多い衣装で出てきて……。会社はそれで男性ファンを増やそうとしたんでしょうけど、私は違うと思ってた。
「股、開けー!」本当にあった“下品なヤジ”
――“ミミさんフィーバー”のころの映像を観ると、花道を歩いている選手にさわろうとする男性ファンが目立ちます。
堀 もう、ひっどいんだから! こっちは試合前だからすっごいピリピリしてるのに、「相撲取りじゃないんだよ」っていうぐらい、バッチバチ叩かれる。リングに上がったら、それこそ「股、開けー!」状態だし。
――実際にそういうヤジが飛んだんですか?
堀 そうですよ。お客は男性しかいないし、お酒を飲んでるから酔っぱらいも多くて、技をかけたときにそういう野次が。水着って競泳用なので、透けるぐらいペラペラなんですね。あれは野外の会場だったかな、新人だったころの本庄ゆかり(その後のクレーン・ユウ)が、泣きながら控室に戻ってきたんですよ。「怪我しちゃった?」って聞いたら、「違うんです。水着が切れちゃって……」と。胸のあたりから肩に伸びる細い紐が切れちゃったんだけど、本人は若いし必死だからさ、気づかずに胸をベローンって出したまま試合をしてたんだって。レフェリーがすぐ止めたんだけど、「(男性客から)『汚いの出すな!』って言われたんです」って。本人は、出ちゃったし恥ずかしいしで、泣いちゃって。
――その言葉はひどいなぁ。

