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復活の秘訣「ラブブ人形とスマイル」「ウィナーを狙わなくてもいい」で全米4強!? 大坂なおみ“ニュースタイル”で見えた「ママでも四大大会優勝」
posted2025/09/11 11:02
大坂は決勝戦まで7試合ぶんのラブブを用意していたという。こちらは4回戦の「Althea Glitterson」ちゃん。お披露目できなかった決勝のラブブとは……?
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山口奈緒美Naomi Yamaguchi
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Getty Images
コロナ禍の真っただ中だった2020年の夏、無観客で開催された全米オープンで、大坂なおみは試合ごとに異なる名前がプリントされた黒いマスクをつけて入場した。BLM(ブラック・ライブズ・マター)運動が拡大する中、大坂は人種差別による黒人への暴力で犠牲となった人たちの名前をマスクに記したのだ。そして、その名を世界に知らせるという使命感に燃えて最後まで勝ち進んだ。
それから5年が経ち、重苦しいマスクはキラキラ輝くビーズの“ラブブ”に変わった。世界的にブームを呼んでいるという中国発のキャラクター人形だが、ラウンドごとに違うコスチュームに身を包んだ特別な“なおみ仕様”。それぞれに名前までつけていた。
大坂の今大会のテーマは「笑顔」
Billie Jean Bling、Arthur Flashe、LaBillieBu、Althea Glitterson、Andre Swaggassi……。アメリカのレジェンドの名に、「輝き」とか「きらめき」などの意味合いの単語をあれこれもじってつけている。クスッと笑える人は、日本ならかなりのテニス通だろう。オンコート・インタビューや記者会見で得意げに、時にはにかみながら命名披露する大坂は、そのノリについていけない世代やタイプの人たちとの微妙な間も厭わず、楽しそうだった。
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ああ、大坂なおみが帰ってきた……。
「この大会で私が大切にしようと思っているのは、笑顔でいることと、楽しむこと」と語った大坂がその意志を実行するために、ラブブは必須アイテムだった。黒いマスクに込めたメッセージとはあまりにトーンが異なるが、世の中の関心やブームの最先端にのっとるアイデアは5年前と同じで、決勝までの7試合で準備したアイテムの全てを見せ切るという自信も、おそらく共通していた。

