オリンピックPRESSBACK NUMBER
「生理を止めてまで取り組むのは…」“女子体操の減量問題”で杉原愛子(25歳)が明かした過去の失敗…“全員10代”だったパリ五輪メンバーにかけた言葉
text by

矢内由美子Yumiko Yanai
photograph byAsami Enomoto
posted2025/09/10 11:02
インタビューに答える現在の杉原愛子さん
ジュニア世代への思い「変な減量はしてほしくない」
25歳になり、多くの経験を積んできた今、杉原が若い選手を見つめる目は温かい。
NHK杯の優勝インタビューでは「花が咲く時期は人それぞれ違う。ジュニアの選手も焦らずに、それぞれのつぼみを花が咲かせる時期がくると思って頑張ってほしい」とジュニア世代にエールを送った。
「全中大会やインターハイで優勝することや小学校の県大会で優勝したいなど、今持っている目標はそれぞれあっていいと思います。でも、同級生が勝ったから自分がダメなんだというようには思ってほしくないのです。高校生で花が咲く人もいれば、大学生で初優勝する人もいます。人それぞれに花の咲く場所が必ずある。だから希望を捨ててほしくない。そういう意味をこめたメッセージでした」
ADVERTISEMENT
10代の選手には過度な食事制限などで体に変調を来してほしくないという思いも持っている。
「成長期に生理が来て、ホルモンバランスの変化で体重が増加するのはしょうがないことですし、逆に、体操だけの人生より引退した後の人生の方が長いですよね。女の子は母親になる可能性もあるので、そういった部分では体を大事にしてほしいから、変な減量はしてほしくないし、生理を止めてまでスポーツに取り組むという考えは私はちょっと違うなと捉えています」
杉原自身も、かつては重さばかり見ていた
そんなふうに語る杉原も高校生の頃はカロリーを考えることなく重さが軽いものを選んで食べていたという。
「ご飯かパンなら、パンの方がカロリーが高くても重さが軽いという理由で選んでいましたし、重量の軽いものしか食べないから筋肉がつきにくかったりもしました。大学生になってカロリーや脂質、タンパク質などの細かいことを知ってから体つきも変わったなと実感しています。やはり、栄養について自ら学んでいくことも大事だと感じますね」
杉原は、選手には若いうちから栄養学の基本知識に対する関心を持ってほしいという思いを持っている。
(撮影=榎本麻美)

