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「兄は野球部長、弟もセンバツV」沖縄尚学の“3兄弟”ロッテ・伊志嶺翔大コーチが振り返る「優しい兄貴分」比嘉公也監督の“一期生”だったあの夏
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梶原紀章(千葉ロッテ広報)Noriaki Kajiwara
photograph byHideki Sugiyama
posted2025/08/25 17:01
沖縄尚学の野球部長を務める伊志嶺大吾さん(左)はロッテ・伊志嶺コーチの実兄にあたる
胸にある校訓「恐れず、侮らず、気負わず」
当然、沖縄県内では陸上界でもその進路に注目が集まっていたが、「そこは考えていなかった。野球一本」と兄と同じく故郷の宮古島を離れ名門・沖縄尚学での寮生活を選んだ。そしてプロへと繋がる野球の基本を徹底的に学んだ。
「練習量もきつかった。あとは時間厳守、挨拶、礼儀など人間としてのあるべき基本を教えてもらいました」
「恐れず、侮らず、気負わず」の校訓は今も胸にある。その後進んだ、東海大から2010年ドラフトでマリーンズの1位指名を受けてプロ入り。2019年に現役引退した後はコーチの道を歩み、今に至る。
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「コーチは選手のサポーター。高めていけるように、サポートできるように、すべては選手のためにと心掛けてやっている。活躍してもらえるように、なにかキッカケを作ってもらえるように頑張っています。たぶん、兄も同じ気持ちだと思う」
兄は大学V、弟は選抜優勝…
兄の大吾さんは沖縄尚学を卒業した後、中京大学に進学し、準硬式野球で大学日本一になった。そして今年、責任教師としてベンチ入りして夏の甲子園の優勝に立ち会った。弟も春の選抜大会で優勝をしている。
「兄も弟も日本一を経験している。ボクも日本一になれるようにチームを全身全霊、サポートしたい」
だから、いつもホームゲームでは試合開始8時間前には球場入りをして準備する。選手たちのためになることは何かないかと常に探している。試合開始直前にも入念に一人、サインプレーの確認をしてから三塁コーチャーズボックスへと向かう。自宅につく時には決まって日付が変わっている。
甲子園で吹いていた沖縄の風を忘れない。母校の誇りを胸に。指導者として子供たちに寄り添った兄のように、選手たちの横でなにか活躍をするキッカケを自然と作れるようなコーチを目指す。



