「兄は野球部長、弟もセンバツV」沖縄尚学の“3兄弟”ロッテ・伊志嶺翔大コーチが振り返る「優しい兄貴分」比嘉公也監督の“一期生”だったあの夏

　テレビ画面越しに後輩たちの雄姿を見つめた。マリーンズの伊志嶺翔大・一軍外野守備兼走塁コーチは、ZOZOマリンスタジアム内の一室で夏の甲子園決勝に心を動かされていた。

　とはいっても、すべてを見届けられたわけではない。午後6時試合開始のナイトゲームに向けて午前10時にはいつも通り球場入り。ロッカーで着替えを済ませてビデオルームで資料を振り返ってデータ収集などの業務を行い、その合間に経過を確認したという方がより正確な表現となるだろう。

目に焼き付けた歓喜の瞬間

　ただ、クライマックスの場面だけはしっかりと目に焼き付けた。母校が初めて夏の甲子園で優勝を果たし、歓喜の輪ができた瞬間だ。

最後の打者をダブルプレーに仕留めてゲームセット。沖縄尚学に夏初優勝の歓喜が訪れた　©Hideki Sugiyama　

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「感慨深いものがあります。春の選抜の時の戦い方を見ても力があるなあとは思っていました。ただ、ここまで行くとは、とビックリしています。春は2回、優勝したことがあったけれど、夏に優勝が出来て嬉しい。2010年に興南高校が優勝した時も、沖縄勢初の優勝で嬉しかったけれど、やっぱり母校は特別。後輩たちの頑張りに感謝です」

　伊志嶺コーチはそう振り返って目を細めた。

「伊志嶺兄弟」と沖縄尚学の深い縁

　沖縄尚学は自身の母校であり、“伊志嶺兄弟”3人の出身校でもある。一番上に姉がおり、長男は4つ年上の兄・大吾さん。大学卒業後に同校の保健体育科の教諭となり、今年から野球部の部長（責任教師）としてベンチ入りしてチームをバックアップしている。2つ下の弟・大地さんはホークスの東浜巨投手らと同学年。春の選抜優勝を経験している。だからまずは家族のグループLINEに「おめでとうございます。そしてお疲れ様でした」というメッセージを入れた。

野球部長としてチームを支えた伊志嶺コーチの兄・大吾さん　©Hideki Sugiyama

「ピッチャーを中心に守り勝った印象。県大会からそうなのですが、守備のチームで、要所要所でいいプレーが出て、投手がエースだけではなくみんなが踏ん張って勝っていった。（左腕の）末吉（良丞）くんが県大会から注目をされていてすごいと思ったけど、新垣（有絃）くんもすごかった。投げていくたびに自信がついたのだと思う。彼の存在は大きかった。元々、沖縄尚学は守り勝つ野球が伝統。それが今も継承されていて、夏の全国大会優勝と言う形でこれまでやってきたことが正しかったことを証明してくれてうれしい」

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