「投げられるまで待ってる」仲間の言葉が支えに…甲子園“14年ぶり復活の古豪”エースが“手術回避”で最後の夏に懸けるワケ「皆のために投げたい」 

　甲子園の雰囲気に鳥肌が立つ。大歓声でベンチやフィールドからの声はかき消され、言葉は聞き取れない。だが、マウンドから後ろを振り向き、セカンドの渡辺やショートの高畑が声を出し続けてくれている姿を見るだけで、安心する自分がいた。

　阪下の足の震えが、止まった。

「木下やみんなが甲子園に連れていってくれた分、絶対に恩返しをしたい気持ちがあったので。チームの勝利のために、自分は腕を振るだけでした」

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　阪下のピッチングは花巻東の反撃の芽を摘み、チームに勝利をもたらした。

5カ月ぶりのマウンドを三者凡退で切り抜けた阪下　©JIJI PRESS

　今夏の甲子園の覇権争いにおいて、ダークホースのような存在。それが、東洋大姫路のポジションだったが、背番号「10」の元エースの復帰によって、勢力図が変わる機運が高まってきた。

　甲子園での悪夢を払拭した阪下に球数制限はないという。監督の岡田も、今後の起用について「球威はまだ70％、80％でしょうけど、本人がいけるというなら長いイニングもあるんじゃないですか」と認める。

最後の夏…「チームのために投げたいです」

　阪下の言葉も、熱を帯びていた。

「目標は日本一なので。自分がピースになれればいいと思うので、ここからは復帰したからといってエンジンマックスでいかずに、焦らずに。怪我の予防は随時やって、マウンドに上がれたらチームのために投げたいです」

　優勝へのラストピースが埋まる。

　夏の東洋。その復活も現実味を帯びる。