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寺地拳四朗の誤算…“まさかの敗北”そのとき何が起きていたのか?「油断はまったくなかった」先制ダウンも…名参謀がいま明かすサンドバル戦のウラ側

posted2025/08/13 17:02

 
寺地拳四朗の誤算…“まさかの敗北”そのとき何が起きていたのか?「油断はまったくなかった」先制ダウンも…名参謀がいま明かすサンドバル戦のウラ側<Number Web> photograph by Hiroaki Finito Yamaguchi

7月30日、リカルド・サンドバルに敗れて2本のベルトを失った寺地拳四朗。参謀の加藤健太トレーナーに“まさかの敗戦”の内幕を聞いた

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渋谷淳

渋谷淳Jun Shibuya

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Hiroaki Finito Yamaguchi

 フライ級2団体統一王者だった寺地拳四朗(BMB)が7月30日、横浜BUNTAIで行われた防衛戦でWBC2位の挑戦者リカルド・サンドバル(米)に判定負け、王座から陥落した。リング誌のパウンド・フォー・パウンド(PFP)ランキングで9位にランクされていた実力派王者は、伏兵と見られたサンドバルになぜ敗れたのか。寺地と二人三脚で歩む三迫ジムの加藤健太トレーナーに聞いた。(全2回の1回目/後編へ)

「足で作るボクシングをしよう」試合前の思惑

 戦前の予想は王者の圧倒的有利だった。

 寺地はWBCライトフライ級王座を8度防衛、矢吹正道(LUSH緑)に一度は敗れたもののダイレクトリマッチで雪辱して王座に返り咲き、京口紘人を下してWBAとWBCの2団体を統一。フライ級に上げて2階級制覇を達成し、今年3月にはユーリ阿久井政悟(倉敷守安)を最終回にKOして、国内では2階級で4団体を制圧した井上尚弥(大橋)に次ぎ2階級での2団体統一を成し遂げた。

 この試合の前まで世界戦通算17戦16勝(11KO)1敗。サンドバルはこれが世界初挑戦なのだから、実績を比べれば、PFPランキング入りもしている寺地が有利と見られるのは当然だった。

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 スタートの寺地は決して悪くないように見えた。ここ数試合、激戦が続いた反省から、試合前の寺地は「できるだけもらわないようにしたい」と繰り返し口にしていた。初回はフットワークを使って距離をキープし、ジャブを軸に組み立てる思惑通りのボクシング。「悪くない立ち上がりだった」と振り返る加藤トレーナーは戦前の狙いを次のように説明した。

「サンドバルが好戦的な選手だったのでまずは被弾を減らそうと考えました。へんに打ち合わない。足で作るボクシングをしようと。ただ、もらわなければそれでいいかといえば、そうではないので」

【次ページ】 「油断はまったくなかった」が…寺地陣営の誤算

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