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野球クロスロードBACK NUMBER
監督の表情はこわばり、ブラバンの姿はなく…甲子園“暴力事案”で揺れる広陵高 現地記者が感じたリアルは? 監督は「粛々と全力を尽くすだけなんで」
text by

田口元義Genki Taguchi
photograph bySankei Shimbun
posted2025/08/08 17:01
1回戦で旭川志峯に3-1で勝利した広島の広陵を率いる中井哲之監督。試合前の取材対応では強張った表情を見せていたが…
そして同日夜、日本高野連が甲子園球場で緊急会見を開催。改めて、広陵高校の夏の甲子園出場の判断に「変更はない」と発表した。
試合当日の7日。18時45分に試合開始予定だったが、中井は選手たちと同じく6時に起床し、6時半に朝食を摂った。そこから洗濯をし、ホテルの一室を借りてストレッチなどで体を動かす選手を見守った。気を配ったところと言えば、試合開始までの長い待ち時間の最中に「寝ないようにすることだった」と話す。そして、例年よりも早い2時間前に球場入りして準備を整えた。
試合前の囲み取材…監督のこわばった表情
中井が初めて騒動について口を開いたのは、試合前の囲み取材だった。
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全てのチームに割り当てられた5分間。試合のプランやナイターについてなどに触れた代表質問が3分で終わると、報道陣からすぐさま不祥事についての見解を求められる。
それまで緊張しているように見えても、質問にはすぐに口を開いた中井が止まる。表情はこわばり、「まあ、あの……」と瞬時に適切な言葉を導き出そうとしているようだった。
「学校が発表した通りなので。今は頑張るしかないので。応援してくださる方がたくさんいるので、生徒の頑張る力を信じたいです」
そこから、続けざまに選手たちの現状を聞かれる。中井は「普通に生活しています」と答え、精神面のケアを尋ねられても、また思考を巡らせるように「まあ、あの……」と繋いで、言及を最小限にとどめた。
「反省すべきは反省してこの大会を迎えていますんで。目の前の試合を全力でプレーするだけです」
19時5分に三塁側からグラウンドに入り、3分後に5分間のノックが始まる。誰かが大声でヤジを飛ばしている様子はなく、そこには他の出場校と同じような光景があった。

