新横綱・大の里はなぜ崩れたのか？「じつは“初物”に弱い」まともに引く悪いクセが再発…「やっぱりだめですね」終盤に見せた“苦笑い”の正体 

　13日目は優勝した琴勝峰にいいところなく敗れ、新横綱としては史上ワーストとなる4個目の金星配給。「僕はもう（優勝には）関係ないので、しっかり自分のことに集中して臨みました」と本来の相撲を取り戻したのは、奇しくも4敗目を喫した翌日の14日目からだった。

　これまでも苦戦を強いられた難敵、若隆景を寄せつけず、ようやく10勝目。取組後は取り囲む報道陣の輪が解けると、こちらに向かって「名古屋はやっぱりだめですね」と何とも言えない苦笑いを浮かべ、今年も“鬼門”を突破することは叶わなかった。

14日目、若隆景を押し出す大の里。前日に4敗目を喫して優勝争いから脱落していた　©JIJI PRESS

じつは“初物”に弱い大の里「同じ失敗を繰り返さない」

　大の里が“初物”に弱いことは、これまでの戦績が物語っている。鳴り物入りで入門したにもかかわらず、幕下10枚目格付け出しのプロデビュー戦は黒星を喫している。前述した新関脇場所は9勝に終わったが、翌場所は欠点だった腰高の立ち合いやまともな引きをしっかり是正し、賜盃を手繰り寄せると場所後、大関の座を手に入れた。新大関場所も勝ち星が2桁に届かなかったが、翌場所は10勝をマーク。看板力士としての重圧を背負いながらの土俵に慣れてきた大関3場所目からは連覇を成し遂げ、横綱に推挙された。

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　千秋楽の大関琴櫻戦を白星で締めた第75代横綱は「経験したことのないことを経験して、これが普通になってくる。2場所目からは同じ失敗を繰り返さないように」と巻き返しを誓った。

　パワーとスピードを兼ね備えた類い稀な素質を持った新横綱は、高い修正能力の持ち主でもある。本場所で露呈した課題を場所後の稽古で克服し、次の場所で結果を残すことの繰り返しで、記録的なスピード出世を果たしてきた。角界の頂点に立ったとは言え、プロのキャリアはまだ2年余り。“唯一無二”の横綱を目指し、力士として大成するのはこれからだ。