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阪神タイガースは創設90年でついに「セ10年間の最強球団」になるか…「少しの不振で戦犯探し」長期的チーム育成が根付かなかった根本的原因 

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広尾晃

広尾晃Kou Hiroo

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posted2025/08/02 11:02

阪神タイガースは創設90年でついに「セ10年間の最強球団」になるか…「少しの不振で戦犯探し」長期的チーム育成が根付かなかった根本的原因<Number Web> photograph by JIJI PRESS

藤川球児監督のもとでセ・リーグを独走する阪神タイガース。1リーグ制時代と10年間ごとの成績を見てみると、興味深い傾向が見えてくる

 2リーグ分立後のセントラル・リーグの10年ごとの球団成績を見ていこう。

【1950~59】
巨人1279試815勝438敗26分 率.650優8平1.3
中日1280試733勝517敗30分 率.586優1平2.4
大阪1286試712勝550敗24分 率.564優0平2.5
国鉄1270試535勝712敗23分 率.429優0平4.9
広島1267試489勝743敗35分 率.397優0平5.3
大洋1278試477勝777敗24分 率.380優0平5.6
(合併で消滅したチーム)
松竹372試185勝176敗11分 率.512優1
西日本136試50勝83敗3分 率.376優0

 大阪はもともと毎日オリオンズと共にパ・リーグに参加する予定だったが、巨人戦がなくなることを懸念してぎりぎりでセ・リーグに加盟。怒った毎日が若林忠志、別当薫、呉昌征とのちに殿堂入りする3選手をはじめ、本堂保次、土井垣武と主力級を引き抜いたため戦力が大幅ダウン。50年代は一度も優勝できず。巨人が圧倒的に強かった。

巨人V9時代…肉薄した阪神だが優勝は1度もなし

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【1960~69】
巨人1346試772勝539敗35分 率.589優7平1.6
阪神1347試693勝619敗35分 率.528優2平2.5
中日1343試676勝639敗28分 率.514優0平3.4
大洋1342試629勝678敗35分 率.481優1平3.7
広島1352試585勝720敗47分 率.448優0平4.8
国鉄1348試574勝734敗40分 率.439優0平4.9

 水原茂、川上哲治が監督を務めた巨人は1965年から空前のV9(リーグ、日本シリーズ9連覇)が始まる。阪神は藤本定義監督の62年に2リーグ分立後初優勝、64年にも優勝するが、それ以外の年は巨人の後塵を拝した。

【1970~79】
巨人1300試686勝539敗75分 率.560優7平2.1
阪神1300試623勝595敗82分 率.511優0平3.4
中日1300試620勝607敗73分 率.505優1平3.1
広島1300試601勝607敗92分 率.498優1平3.9
大洋1300試572勝644敗84分 率.470優0平4.4
ヤクルト1300試554勝664敗82分 率.455優1平4.1

 73年まで続いた巨人V9の時代、最も肉薄したのは阪神だったが、V9を止めたのは74年の中日、その後ヤクルト、広島も創設以来初優勝する中で、阪神は勝率こそ2位だったが一度も優勝していない。

成績が物語る90年代の「暗黒時代」ぶり

【1980~89】
巨人1300試703勝516敗81分 率.577優4平1.9
広島1300試683勝527敗90分 率.564優3平2.1
中日1300試619勝590敗91分 率.512優2平3.5
阪神1300試581勝657敗62分 率.469優1平4
ヤクルト1300試539勝681敗80分 率.442優0平4.8
大洋1300試536勝690敗74分 率.437優0平4.7

 阪神は85年にランディ・バース、掛布雅之、岡田彰布の最強打線でリーグ優勝、初の日本一にも輝くが、以後は急速に衰える。80年代は85年を除けば、巨人、広島、中日が覇権を争った10年だった。

【次ページ】 21世紀に入り成績が安定…2020年代は最強かも?

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