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田口壮「阪神に行きたくない10カ条」を阪神出身スカウトに仕掛けられ…「阪神に行きたい」萩原誠1位指名に流れた阪神の“無難”という伝統
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喜瀬雅則Masanori Kise
photograph bySANKEI SHIMBUN
posted2025/08/04 17:01
阪神入りを熱望していた萩原誠。だが結果的には阪神特有の重圧に打ち勝てず、プロ通算でわずか38安打と大成できなかった
獲得し損ねた田口と中村の活躍
田口は、日米での20年間で通算1601安打。メジャーで2度の世界一に輝き、オリックスではゴールデングラブ賞5回の名外野手として、長く活躍し続けた。
中村紀洋も本塁打王1回、打点王2回、ベストナイン5度、三塁手としてゴールデングラブ賞も7度。日本を代表するスラッガーとして、その名を轟かせた。
しかし、萩原誠は実働8年のプロ生活で通算38安打。後付けの結果論とは分かってはいるものの、阪神の指名戦略と育成は、首をひねらざるを得ないような結果に終わっている。
高卒生え抜き選手の不在
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その“育成のひずみ”は、2022年の開幕スタメンにもはっきりと示されていた。セの場合は9人、パは指名打者制のため、先発投手を含めて10人になるが、阪神はセで唯一、野手8人の中に高卒の生え抜き選手がいなかったのだ。
もちろん「生え抜きの高卒」が多いから、育成がうまいというイコールの図式では決してない。ただチームの根幹を担う部分に、たたき上げの選手を多く組み込んでいるチームの名前を見ると、結果が伴っているというのも、また浮き彫りになってくる。
どうして、阪神は高卒選手をうまく育てられないのか——。
その“負のレッテル”は、阪神の拭い難い定説のごとく、広まってしまっている。
〈つづく〉
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