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ボクシング拳坤一擲BACK NUMBER
世界王者・武居由樹の覚醒「あの衝撃KO防衛」本人に聞いた“意外なウラ側”…次戦も難敵“那須川天心のスパー相手”メディナは「見れば見るほど強い」
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渋谷淳Jun Shibuya
photograph byHiroaki Finito Yamaguchi
posted2025/07/29 11:02
WBO世界バンタム級王者の武居由樹(29歳)。5月の防衛戦ではユッタポン・トンディをわずか127秒で一蹴した
「相手は近い距離が得意なので、自分の得意な遠い距離で打ち合おうと。相手のパンチを外しながら自分のパンチを当てる。そんな自分のボクシングができればいいなと思います」
そして慎重にこう続けた。
「イメージ的には比嘉大吾戦みたいになりそうな心配もしています。悪い自分は『待ち』になって差し込まれて距離をつぶされて、こちらがあまりいいパンチが当てられない。そうなったら最悪なので、そこをどうしていくか、八重樫さんと対策を練っています」
武居由樹の“意識が変わった”タイミングとは?
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2021年のボクシング転向から元世界3階級制覇王者の八重樫東トレーナーとタッグを組み、イチからボクシングを作り上げた。当初は爆発的なパンチ力を武器に初回KO勝ちを連発した。ところが世界初挑戦のジェーソン・モロニー(オーストラリア)戦で連続KOが途絶え、続く比嘉との初防衛戦でも薄氷の判定勝ち。力を発揮できないもどかしさ、ボクシングの難しさを感じたが、この時点でキャリア10戦程度だと考えれば仕方のないことだったかもしれない。
「東洋太平洋を獲ったころ(22年8月)は世界戦なんてイメージすらできませんでしたし、とりあえず勝ち続けるしかないとだけ考えていました。バンタム級に落とすことも考えてなかったんですよ。K-1のときもずっとスーパーバンタム級で、古川(誠一)会長と八重樫さんから『お前の適正階級はバンタムだ』と言われて『えーっ』て感じでしたから」
意識が大きく変わったのは世界初挑戦が決まってからだ。モロニーへの挑戦にあたり「これでは勝てない」とそれまで以上に周囲の助言に耳を傾けるようになった。最終回に大ピンチを迎えたモロニー戦、押し込まれ、ダウンも奪われた比嘉戦を乗り越えたことで成長できた。

