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「(陸上を)やめようかなと思った時期も…」高校生で800m日本王者→米大学進学で不調に…4年ぶり日本選手権で激走“東京五輪のホープ”が復活のワケ 

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和田悟志

和田悟志Satoshi Wada

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photograph byYuki Suenaga

posted2025/07/22 11:03

「(陸上を)やめようかなと思った時期も…」高校生で800m日本王者→米大学進学で不調に…4年ぶり日本選手権で激走“東京五輪のホープ”が復活のワケ<Number Web> photograph by Yuki Suenaga

日本選手権800mで4位に食い込んだクレイアーロン竜波(ペンシルベニア州立大学)。レース後は優勝した落合晃(駒大)と健闘を称え合った

 それでも「何も考えずに、本能で」落合に付いていった。

「落合君がラスト300mで切り替えたのが分かりました。それに対応し過ぎたせいで、たぶん力んじゃったのかな……」

 終盤まで食い下がったものの、最後は突き放され、4位でレースを終えた。

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「やっぱ落合君は強いですね。最初から最後まで引っ張って。自分はちょっと力んじゃって、ラストが伸びなかった。2人にも差されて(抜かれて)しまった」

 ただ、そんな反省の弁とは裏腹に、そう話す表情は晴れやかだ。そして、こう言葉を続けた。

「でも、決勝で走れたのは本当にうれしいです。それは当たり前じゃないので。ここまで来られてうれしいです」

 思わぬ挫折を味わったからこその本音なのだろう。“うれしい”という言葉を2度、3度と繰り返し口にしていた。

 記録も、自己記録には及ばなかったものの、1分46秒72とまずまずの好タイム。

「今、コンスタントに1分46秒台を出せているので、そこは上出来です」

戻ってきた「強いクレイアーロン」

 今シーズンの取り組みに確かな手応えがあった。その後、7月15日にカナダで行われた大会でも1分46秒75で2位に入っている。

 強いクレイアーロン竜波が戻ってきたと言っていい。いや、むしろさらなる飛躍の序章と見るべきかもしれない。アメリカで揉まれる上に、日本には落合や石井といった若いライバルがいる。彼らと競り合う中で、クレイアーロンはまだまだ強くなりそうだ。

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「もう陸上は無理かなと思って…」17歳で日本王者→米進学でスランプに…800mで4年ぶり日本選手権に復活 23歳になった元“天才高校生ランナー”の告白

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