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「佐藤輝明に厳しすぎるんやないか?」岡田彰布に聞いた“意外な本音”「ホンマに能力ある」「ホームラン王は確定やろ」なぜ藤川監督のもとで“覚醒”したか
posted2025/07/19 11:02

ホームラン王争いでトップを独走する佐藤輝明。4番として首位・阪神を牽引している
text by

内匠宏幸Hiroyuki Takumi
photograph by
Kiichi Matsumoto
ここまで書いてきた通り、岡田彰布氏は佐藤輝明に対し、常に厳しいスタンスをとり続けた。ただし佐藤輝だけに……ではない。森下翔太も大山悠輔も結果が出なければ、容赦なく二軍行きを命じている。だが、その頻度が極めて高かったのは間違いなく佐藤輝だった。
「佐藤輝に厳しすぎるんやないか?」岡田彰布の答えは…
簡単なプレーをミスする。実際に2024年にあったのは、投手から三塁の佐藤輝への送球。これをポロリと落球した。試合後の岡田氏のコメントは怒気を含んだもので「あれがすべてよ。キャッチボールやんか」。即刻二軍落ちを決め、佐藤輝は静かに遠征先からひとり離れている。
「佐藤輝に厳しすぎるんやないか? そこまでこだわる理由は何?」と岡田氏に問うたことがある。するとこう返ってきた。
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「好き嫌いで起用法を変える監督なんていないわ。佐藤輝はホンマに能力がある。それなのに基本的なプレーができないことが多い。そこなんよ。普通にやればいいのに、それができない。能力があるからこそ、この基本、普通をわからせることに注力するだけ」
岡田氏の考えは実にシンプルだった。
だが受ける側はたまったものではない。監督の辛辣なコメントがスポーツ紙に出る。関西のスポーツ新聞は過激で、それを読む当事者の心は折れていく。コーチ陣に聞くと「佐藤輝はああ見えて、繊細なタイプなんですよ」。となると、ますますへこんでいく。岡田爆弾を浴びて、ナニクソという感情の前に落ち込みがくる。挫けたり、乗り越えたりを繰り返した2年だった。
基本の大切さ、チームの中での振る舞いや考え方。岡田氏が佐藤輝に求めたのがそこだったが、2024年、契約満了によってユニホームを脱いだ。そして後任として監督に就任したのが藤川球児だった。