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プロ野球PRESSBACK NUMBER
「佐藤輝明に厳しすぎるんやないか?」岡田彰布に聞いた“意外な本音”「ホンマに能力ある」「ホームラン王は確定やろ」なぜ藤川監督のもとで“覚醒”したか
text by

内匠宏幸Hiroyuki Takumi
photograph byKiichi Matsumoto
posted2025/07/19 11:02

ホームラン王争いでトップを独走する佐藤輝明。4番として首位・阪神を牽引している
岡田流とは正反対…藤川球児の「選手ファースト」
かなりの年齢差があった監督から、年の近い指揮官になった。何より若い藤川監督は選手に寄り添うタイプで、岡田氏とは正反対の位置にいた。
藤川監督は岡田氏を理想の監督像と語っていた。それは2人の過去の関りからも理解できた。阪神のトレード要員になっていたところをギリギリで食い止めてくれたのが岡田氏であり、投手としての適性を見出してくれたのも岡田氏だった。先発にこだわっていたが、短いイニングで力が発揮できるタイプと見極め、その後、球界の革命と呼ばれた「JFK」を構築。稀代のクローザー誕生は、岡田氏の存在なくしては語れない。
しかし自分が監督になった限りは自分のスタイルを作る。藤川監督は岡田氏の衣鉢を継いで「凡事徹底」を掲げているものの、そのうえであくまでも選手ファーストの立ち位置を保っている。
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最初に書いたように、あの佐藤輝の勘違い確信歩きに対して叱責することもなく、一方でまったく問題なしとも語らず、「本人の責任の中で……」というほどよい温度感のコメントは、誰よりもミスを気にしているであろう佐藤輝の気持ちを和らげた。そう想像できるものだった。
監督によってチームは大きく変わる。選手も同じだが、その歴史は受け継がれていく。岡田氏が授けてきた佐藤輝への教えは決して無駄ではなく、根の部分では深く張っている。そこに藤川監督の“伝えすぎない力”がハマったことで、今シーズンの伸びやかさにつながった。