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岡田彰布がバッサリ「論外よ。打ったら走るってことやんか」佐藤輝明“あの確信歩き”問題から考える「藤川球児との違い」首位独走・阪神の監督論

posted2025/07/19 11:01

 
岡田彰布がバッサリ「論外よ。打ったら走るってことやんか」佐藤輝明“あの確信歩き”問題から考える「藤川球児との違い」首位独走・阪神の監督論<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama

2023年、阪神を38年ぶりの日本一に導いた岡田彰布前監督。現在は阪神のオーナー付顧問を務めている

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内匠宏幸

内匠宏幸Hiroyuki Takumi

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Takuya Sugiyama

 今季から就任した藤川球児監督のもと、セ・リーグ首位を独走する阪神タイガース。その快進撃を支えているのが、主砲・佐藤輝明の活躍だ。岡田彰布前監督から厳しい指摘を浴び続けた佐藤輝は、なぜ5年目にして「覚醒」に至ったのか。長く“岡田番”を務める筆者が、岡田前監督と藤川監督の対照的なコメントを通じて両監督の違いを検証する。(全2回の1回目/後編へ)

 人はそれを「確信歩き」と呼ぶ。大谷翔平やアーロン・ジャッジのように、図抜けたパワーを持つホームランバッターに与えられた至福の瞬間……。この時もそうだった。7月13日の甲子園。佐藤輝明の放った打球はエグい角度で打ち出され、そのままライトのスタンドに着弾した。

 右から左に吹く強い浜風は一切関係なし。左バッターがここまで飛ばした本塁打を見るのは久しぶりだった。打球から目を離し、打った佐藤輝の姿を追うと、バットをクルリと放り投げたあと、確信歩きではなく、走り出していた。「確信はありましたけど……ね」。豪放な振る舞いの一方で見せる可愛げのある動き。これも佐藤輝の魅力である。

「論外よ」まさかの“フェン直シングル”に岡田節が炸裂

 改めて、なぜ確信の「歩き」ではなかったのか。そのわけは1カ月前の“事件”にあった。交流戦の最中、阪神は仙台で楽天戦に臨んでいた。6月15日の試合はもつれて延長に入った。11回表無死。佐藤輝が打ったセンターへの打球を、本人はホームランと決めつけていた。だから確信歩きだったのだが、打球は伸びずにフェンス直撃。歩いた分、まさかのシングルヒットになった。

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 その光景を球場上部の放送席で見ていたのが前監督で、現オーナー付顧問の岡田彰布氏だった。体調が思わしくなく、活動をしばらく自粛していたが、ようやく回復し、テレビ解説のオファーを受けた。元々、岡田氏の解説のファンは多い。「本音でモノを言う」「忖度がない」「野球の深みを感じる」「監督目線がいい」といった声が放送局に届いている。そんな岡田解説の中身は「阪神」にも向けられる。立場上、柔らか目になると思われがちだが、そんな制限はない。辛口批評を球団も容認していると聞く。

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