「次は完全試合を…」超ビッグマウスも話題に…甲子園4連投で準優勝→4球団競合でプロへ　あの「伝説の左腕」を覚醒させた“後の沢村賞投手”の正体 

　ただ、衝撃と同時に肩を掴まれたような感覚もあった。

「逆に言えば、こういうボールを投げられるようになれば僕はドラ1になれるのかもしれないって思いました。ひとつの出会いですよね。それからもう比較対象は和巳さんでした。和巳さんはこうだったなとか、何かをするたびに考えるようになったんです。あの出会いがなかったら、自分はここで1番をつけるために何をするとか、もっと低い位置での競争をしていたと思います。あの試合は野球をするうえで目指すものが決まった日でもありました」

　2年春の近畿大会では優勝。秋の近畿大会ではベスト8入りし、17年ぶりのセンバツ出場を決めた。

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　3年生になった夏の甲子園では2回戦で高知商・藤川球児（現・阪神監督）に投げ勝つなど伝統校を連破し、決勝まで登りつめた。4連投を含む6試合で実に820球。現代では考えられないようなタフさも見せた。

　加えてそのビッグマウスもメディアを賑わせた。高知商戦後にはインタビューで「次は完全試合を」とぶち上げ、大きな話題にもなった。

3年夏の甲子園では準優勝。4連投で800球以上を投じるなどエースとして大車輪の活躍を見せた　©JIJI PRESS

　最後は準優勝という結果に終わったが、聖地で平安がベスト8以上に進出したのは74年夏の56回大会以来23年ぶりだった。その中心に立った川口の躍動は大きくクローズアップされたが、川口には「平安を復活させた」という感覚は全くなかったという。

「平安ってこんなに応援されるチームなんや」

「昔、平安は強かったというのはもちろん知っていました。でも、昔強かったから今はどうしようとかまでは考えていませんでした。ただ、京都と言えば平安、というのはありましたし、高校野球界では京都では平安が一番有名でした。

　実際にプレーして、夏の大会でもスタンドではたくさんの方が応援してくれて“平安ってこんなに応援されるチームなんや”とか“こんな下手な試合したら（スタンドから）めっちゃ怒られるんや”って肌で感じましたしね。決定的だったのは甲子園の決勝でした。確かあの決勝戦は甲子園のスタンドの3分の2が平安の応援だったんじゃないですかね」

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